ドヴォルザークを調べていると、この人は本当にブラームスが好きだったんだろうなぁと思わせるところが多々ある。で、真似をするのだが、惜しい。 それはともかく、ドヴォルザーク自身の魅力的なパッセージには事欠かない。多少展開に無理はあっても… 7番交…
冒頭に出てくるピアノの低音域でのアルペジオ。ちょっとしたことなのだが、ところどころに倚音をはさみ込むことで一筋縄ではいかない響きになっている。
8月15日、敗戦から74年。敗戦記念日の思いも繰り返されるごとにパターン化し、記憶が風化していくことにあせりを感じます。 昨年は、双子座三重奏団とのジョイントで10月に「戦争と音楽」というテーマでライブを行いました。拙作のほか、戦争に関わる音楽を…
落語の「寝床」はいろいろなヒントを含んだ噺である。江戸時代、あるいは明治・大正・昭和もはじめごろですかな、経済的余裕とヒマのある旦那衆、時によってはその辺の有象無象まで稽古事をやる。中には女のお師匠さん目当てで通ったりする。いわゆる「檀那…
「詩人の恋」は一曲目の「五月」がすごくいいし、この12曲目も悪くない。要するにときどき挟まるめちゃめちゃ元気のいい曲がこちらとしては雰囲気ぶち壊しだと思うのだが、ドイツ人のやることだからしょうがない。 ディーター=デ=ラ=モッテが「大作曲家の…
古典派の音楽でも何か「ざわざわ」するものてぇのはあるもんでして。(なぜか落語調) シューベルトの4番交響曲 D. 417の第3楽章。最初聞いたときは、何が起きたのかわからず、マルティヌーかルーセルか、と思ったのですが、だんだん普通になるので、あー、…
シェーンベルク 5つの管弦楽曲(1909) ウェーベルン 管弦楽のための6つの小品(1909) 管弦楽のための5つの小品(1911) ベルク 管弦楽のための3つの小品(1915) あー、ややこしい。 ウェーベルンの6つの方の4曲目の冒頭部分を抜き出します。大太鼓のトレ…
ディーター=デ=ラ=モッテの「大作曲家の和声」(滝井敬子・訳)では、使われている和声記号が、われわれの慣れ親しんだものとはやや異なるので面白い。 基本的には長三和音を大文字、短三和音を小文字で表し、Tが主和音、Dが属和音、Sが下属和音というこ…
『いざ来ませ、異邦人の救い主よ』(Nun komm, der Heiden Heiland)によるフーガです。バッハなど他の作曲家のものとことなり、原曲に近いテーマをそのまま使いました。演奏はFinale の自動演奏機能によりGarritan Personal Orchestra 5のピアノを使用してい…
グノー 1818-1893(生年と没年) ワーグナー 1813-1883 ヴェルディ 1813-1901 この三人、ほとんど同時代人なんですよね。ロラン=マニュエルの「音楽のたのしみIII」で指摘されていて、改めてずいぶん作風がちがうよな、と思った次第。関係ないけど、ヴェル…
マルティヌーの最初の交響曲の出だしは不思議な音響である。スコアを見てみると一筋縄ではいかない書法が見られる。一瞬で過ぎる序奏であるし、ピアノの使い方は明らかに装飾的で(単なる半音階)、ひとつひとつの和音が厳密に聞かれることは意図していない…
沼野雄司「リゲティ、ベリオ、ブーレーズ」からの孫引きによるリゲティの言葉。 「…できるかぎり私は、三全音と完全4度の組み合わせ、あるいは三全音と完全5度の組み合わせからなる、ウェーベルン的な長7度や、短9度を避けています。私にとっては、これらは…
ほぼ半日をかけてテルミンとチェロのデュオによる完全インプロヴィゼーションセッションを敢行しました。テルミンの演奏は三毛子、チェロはKei Yamamotoによります。譜面なし、事前の打ち合わせなし、完全なぶっつけ本番の即興演奏となりました。 ほぼ1時間…
ポピュラー音楽でいう「裏コード」sub-chord というのはトライトーン(増4度=減5度)離れたドミナント7thコードのことであり、II-V進行において、Vを裏コードで置き換えることができる。たとえば、 Em7 A7 Dm7 G7 C というコード進行の場合、A7とG7を裏コー…
同度およびオクターブを使った4声のカノンはまがりなりできた。まがりなりだけど。では、他の音程の4声カノンもできるのではないか。 他の音程の2声カノンあるいはそれに自由声部を加えたものは大バッハがたくさん書いているが、4声はあるのかな。知らな…
J.S.Bachは音楽の捧げ物のなかでいろいろなカノンを書いているが、中に4声のカノンがある。調べてみるとかなりのムリゲーで、さすがのバッハも結構苦労していて、四六の和音が出てくるのはいいことにしたらしい。 つい、気の迷いで4声のカノン、上等じゃな…
先日の三毛子のテルミンライブ「旅するテルミン 南アメリカ~帰国編」で取り上げた、メキシコの作曲家、ポンセ作曲の「エストレリータ(小さな星)」であります。 楽譜はimslpに上がっているので最初の部分だけ示します。 この曲は、ハイフェッツによる編曲…
逆行カノンというのは、最初から演奏するパートと同じ楽譜の最後から逆に演奏するパートが合わさって2声部の音楽になる、というものです。 ここでは、普通に最初から演奏するパートに対し、最後から逆に演奏するパートを2オクターブ下げて2声としています。…
オリヴィエ・メシアンの「移調の限られた旋法」modes à transpositions limitéesは、メシアン自身の著書「わが音楽語法」Technique de mon Langage Musical(1944)(新訳では「音楽言語の技法」)で紹介され、広く知られている。 長音階(あるいは自然短音階…
音楽研究者 藤野純也さんのブログで取り上げられていた"If I FeLL"のコード進行はジョン・レノンならでの革新的なものである。探せばワーグナーやリヒャルト・シュトラウスあたりに類似の進行はあるかもしれないが、このコンテクストで使うというところが革命…
こういう「要はセンスですよ」みたいな曲をアナライズしても虚しいのですけどね。でもやる(笑)下は"Lemon"のコード進行です。(ブリッジ部分は省略。間違ってたら指摘してね) youtu.be 。 ロ長調(B Major)で、特に難しいことは何もやらず、ポップスの王道…
逆行カノンは、同じ旋律を順行で演奏したものと逆行で演奏したものが2声の曲として成立する、というものである。バッハの音楽の捧げ物にあるものが有名である。 この逆行カノンは同度で18小節。ほとんど例の王様の主題によっているのでかなり和声進行には制…
「春の祭典」の練習番号91では、ヴィオラが6 Vle. solo と指定されている。妙なのはここだけ調号(H dur)が指定されていることだ。ヴィオラのソリ以外はチェロとコントラバスのハーモニクスを伴うオスティナート(e fis cis h)でここは曲の他の部分同様調号な…
以前この楽章の冒頭部分のなんちゃって分析をしたことがある。 Ravel Sonatine movt. 2 - Jun Yamamoto 音楽を語る 今回は終わりの部分である。 Un peu plus lent qu'au débutのところから。 この4小節はcis のペダルの上で鳴っているのだが、小節ごとに細か…
11月6日夕、作曲家集団アルビレオの第30回(!)演奏会にお邪魔しました。 <プログラム> 千原 卓也 落霞深き処に(2018・初演) Vn:鈴木睦美、Pf:伊倉由紀子安川 徹 ホルンとピアノのための「Mi-4-Si」(2016~17・再演 Hr:三好直英、Pf:下条絵理子廣…
ディーター=デ=ラ=モッテ(Diether de la Motte)の大作曲家の対位法( 瀧井敬子・訳)に大バッハのBWV815のガボットについて「この曲は桁外れに不協和な響きがする。この曲では不協和音がひどく目立つのだといった方がよいのかもしれない」といって2ページ…
みなさんおなじみのクレイジー・ケン・バンドの「タイガー・アンド・ドラゴン」。名曲であります。カラオケで歌うと「ハッ!」が気持ちいいでしょうね。 この曲のサビ部分「俺の話を聞け!」のところの和声が、大変クラシカルで美しい。こんな感じであります…
別にハロウィーンがらみということもないのですが、「絞首台」であります。 ラヴェルの「夜のガスパール」も音楽的発見の尽きせぬ泉でありますが、第二楽章の「絞首台」のほんの数小節を見てみます。音はこちら。 20小節目から。原曲はこの部分で転調するの…
電子音響初体験記。「マキシマム2018」を拝聴してきました。初めての経験でもあり、下記は自分のためのメモで、シェアすることに何か意味があるかはわかりません。 星谷作品。ペンタトニックのフレーズと、無機的なブザー音、それにチューバの息音とが交錯す…
バルトークの弦楽四重奏曲第4番。第3楽章は、基本的に6音のクラスターの上でソロ楽器がメロディーを奏でるという形になっている。クラスターがどのような和音になっているか調べてみたいので、簡略化した譜面を作ってみた。音はこちら。 最初に導入されるク…