Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

2019-01-01から1年間の記事一覧

Barry Mann/Cynthia Weil "Just Once " in The Dude by Quincy Jones

Quincy Jonesの The Dude に入っている "Just Once" であります。ポップスの作法のお手本みたいな曲で、ここでもお約束のIV度へのII-Vが出てくるのでご紹介します。 14小節目がサビ頭の印象的なリズムですが、直後(15小節目)にIV度へのII-Vが出てきます。…

Mirror Canon

昨日の「題名のない音楽会」で言及されていた「鏡のカノン」。むしろ対面カノンと言った方が正確かと思うが、要は五線譜を普通に見た形とさかさまに見た形を同時に演奏して曲が成り立つというカノンである。 KM先生の例をヒントにでっち上げてみた。ここでは…

Yumi Matsutoya "so long long ago"

"so long long ago"(松任谷由美)の「或る朝空をふと見上げた時」の部分のコード進行。Gm7 Dm7/Bb7 Ebmaj7 Abmaj7 (Bb major: vi iii/I7 IV VIb)なのだが、これもIV度へのii-V(Im7-I7-IV)の応用であることがわかる。普通なら、Gm7 Fm7/Bb7 といくところをF…

日本語ボサノバのライブ 東輝美、OTT、Heliそれぞれの個性

カフェ・ムリウィにて掲題お三方のライブに行ってきました。 東輝美さん、OTTさん、ヘリさんとそれぞれ強烈な個性を発揮されているみなさんで、静かな炎といったものを感じさせるライブでした。 東さんのはおそらくボッサの翻訳と言いながらかなり身を削るよ…

Jun Yamamoto音楽を語る 過去記事の一覧(264件、ぐらい)

Jun Yamamoto 音楽を語る ブログエントリー一覧 (右側の日付をクリックすると当該記事にとびます)2019.11.01.現在 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のフーガ」を添削する 2019/10/12 12:18:49 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のコラール」を添削…

演奏会リハーサルの時間割問題(エクセルで超簡単なものを作ってみた)

当日の演奏者(ここでは fl vn vc pfの4名とした)を曲ごとに書き込み、各演奏者の都合の悪い練習スロット(日時)にその名前を書き込めば(都合によりそれ以外は0で埋めないといけないという不細工仕様ごめん)、「自動的に」曲ごとスロットごとに、練習可…

演奏会リハーサルの時間割問題(とりあえずモデル化まで)

亡父が高校教師をしていたので、年度初めの時間割作成の困難についてはよく聞かされていた。ここでのパラメーターは、毎日何時限まであるのか、先生は誰か、科目の種類、音楽室・図画工作室などの数、運動場をいくつに分割可能か、などであり、完璧にすべて…

Chopin Piano Concerto No.1 Movt. 1

ショパンのピアノコンチェルト第1番、ピアノの入る直前の部分である。ショパンのオーケストラ書法はなってないという批判もわかる。声部の処理がゆるゆるで、必然性がない。弦主体だから目立たないが、管楽器でやるとつぎはぎだらけになってしまう。逆に言う…

Erik Satie "Vexations"

譜面にもある通り、バスのテーマは二回繰り返す。かつ、ソプラノとアルトは一回目と二回目で上下逆になって繰り返している。構造は至極簡単だ。 和音を調べてみるとほとんど減三和音だが2番目が増三和音、12番目が増6度の和音(形としては属七の5音除きと同…

David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のフーガ」を添削する

デイヴィッド・コープ(平田圭二・監訳)「人工知能が音楽を創る」の中に、コラールだけでなく、イ短調のフーガがまるっと入っていたので見てみた。ざっと聞く分には「人工知能がこれを創ったのはすごいなぁ」と思うのだが、コープの手法はあくまで過去のデ…

David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のコラール」を添削する

David Cope 「人工知能が音楽を創る」の中に、コンピューター生成されたバッハ・スタイルのコラールがまるっと一曲収録されている。音楽的な喜びがない(あるいは少ない)といった高度な話は置いておいて、少なくとも音の間違いが多い。思わず添削してしまい…

第26回AI美芸研 「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら・2」を聞いて考えたこと

本シンポジウムの問いかけに対して、川島素晴さんは「Nさんの仕事をAIがやるのは(当時も今も)無理であった」という立場であり、将来的にできるようになるかもしれないが、それは人間の作曲家との「エンドレスな追いかけっこになるだろう」ということである…

【テルミン発明100周年 特別ワークショップ】 ~テルミン家三世代と竹内正実先生をお迎えして~国立音楽大学作曲専修主催

昨日はお付きで掲題ワークショップに行ってきました。国立音楽大学作曲専修さんは常に意欲的な企画をしておられてすごいですねぇ。講師はナターリア・テルミン(テルミン博士ご息女)マリア・テルミン(同ご令孫)ピョートル・テルミン(同ご曾孫)竹内正実…

Dvořák Symphony No.7 Movt. 3

ドヴォルザークを調べていると、この人は本当にブラームスが好きだったんだろうなぁと思わせるところが多々ある。で、真似をするのだが、惜しい。 それはともかく、ドヴォルザーク自身の魅力的なパッセージには事欠かない。多少展開に無理はあっても… 7番交…

Rachmaninoff Piano Concerto No.2 Movt.1

冒頭に出てくるピアノの低音域でのアルペジオ。ちょっとしたことなのだが、ところどころに倚音をはさみ込むことで一筋縄ではいかない響きになっている。

75回目の8月15日。あの戦争を振り返る。

8月15日、敗戦から74年。敗戦記念日の思いも繰り返されるごとにパターン化し、記憶が風化していくことにあせりを感じます。 昨年は、双子座三重奏団とのジョイントで10月に「戦争と音楽」というテーマでライブを行いました。拙作のほか、戦争に関わる音楽を…

落語「寝床」によせて

落語の「寝床」はいろいろなヒントを含んだ噺である。江戸時代、あるいは明治・大正・昭和もはじめごろですかな、経済的余裕とヒマのある旦那衆、時によってはその辺の有象無象まで稽古事をやる。中には女のお師匠さん目当てで通ったりする。いわゆる「檀那…

Schumann Dichterliebe op.48 No.12

「詩人の恋」は一曲目の「五月」がすごくいいし、この12曲目も悪くない。要するにときどき挟まるめちゃめちゃ元気のいい曲がこちらとしては雰囲気ぶち壊しだと思うのだが、ドイツ人のやることだからしょうがない。 ディーター=デ=ラ=モッテが「大作曲家の…

Schubert Symphony No.4 Movt.3 Menuet (Allegro Vivace)

古典派の音楽でも何か「ざわざわ」するものてぇのはあるもんでして。(なぜか落語調) シューベルトの4番交響曲 D. 417の第3楽章。最初聞いたときは、何が起きたのかわからず、マルティヌーかルーセルか、と思ったのですが、だんだん普通になるので、あー、…

Webern 6 Orchstra Pieces No.4

シェーンベルク 5つの管弦楽曲(1909) ウェーベルン 管弦楽のための6つの小品(1909) 管弦楽のための5つの小品(1911) ベルク 管弦楽のための3つの小品(1915) あー、ややこしい。 ウェーベルンの6つの方の4曲目の冒頭部分を抜き出します。大太鼓のトレ…

ディーター=デ=ラ=モッテの和声記号 Chord Symbols by Diether de la Motte

ディーター=デ=ラ=モッテの「大作曲家の和声」(滝井敬子・訳)では、使われている和声記号が、われわれの慣れ親しんだものとはやや異なるので面白い。 基本的には長三和音を大文字、短三和音を小文字で表し、Tが主和音、Dが属和音、Sが下属和音というこ…

4-voice Fugue on "Nun komm, der Heiden Heiland"

『いざ来ませ、異邦人の救い主よ』(Nun komm, der Heiden Heiland)によるフーガです。バッハなど他の作曲家のものとことなり、原曲に近いテーマをそのまま使いました。演奏はFinale の自動演奏機能によりGarritan Personal Orchestra 5のピアノを使用してい…

Gounod "Faust" Overture

グノー 1818-1893(生年と没年) ワーグナー 1813-1883 ヴェルディ 1813-1901 この三人、ほとんど同時代人なんですよね。ロラン=マニュエルの「音楽のたのしみIII」で指摘されていて、改めてずいぶん作風がちがうよな、と思った次第。関係ないけど、ヴェル…

Martinů Symphony No. 1 Movt. 1

マルティヌーの最初の交響曲の出だしは不思議な音響である。スコアを見てみると一筋縄ではいかない書法が見られる。一瞬で過ぎる序奏であるし、ピアノの使い方は明らかに装飾的で(単なる半音階)、ひとつひとつの和音が厳密に聞かれることは意図していない…

"avantgarde" chords and Jazz idiom

沼野雄司「リゲティ、ベリオ、ブーレーズ」からの孫引きによるリゲティの言葉。 「…できるかぎり私は、三全音と完全4度の組み合わせ、あるいは三全音と完全5度の組み合わせからなる、ウェーベルン的な長7度や、短9度を避けています。私にとっては、これらは…

Theremin/Cello Duo Improvisation Project No.1

ほぼ半日をかけてテルミンとチェロのデュオによる完全インプロヴィゼーションセッションを敢行しました。テルミンの演奏は三毛子、チェロはKei Yamamotoによります。譜面なし、事前の打ち合わせなし、完全なぶっつけ本番の即興演奏となりました。 ほぼ1時間…

クラシックの文脈における裏コード(sub-chords)

ポピュラー音楽でいう「裏コード」sub-chord というのはトライトーン(増4度=減5度)離れたドミナント7thコードのことであり、II-V進行において、Vを裏コードで置き換えることができる。たとえば、 Em7 A7 Dm7 G7 C というコード進行の場合、A7とG7を裏コー…

4-voice Canon at 6th descending 6度の4声カノン

同度およびオクターブを使った4声のカノンはまがりなりできた。まがりなりだけど。では、他の音程の4声カノンもできるのではないか。 他の音程の2声カノンあるいはそれに自由声部を加えたものは大バッハがたくさん書いているが、4声はあるのかな。知らな…

Canon a 4 四声のカノン

J.S.Bachは音楽の捧げ物のなかでいろいろなカノンを書いているが、中に4声のカノンがある。調べてみるとかなりのムリゲーで、さすがのバッハも結構苦労していて、四六の和音が出てくるのはいいことにしたらしい。 つい、気の迷いで4声のカノン、上等じゃな…

Manuel Ponce "Estrellita" Heifetz version

先日の三毛子のテルミンライブ「旅するテルミン 南アメリカ~帰国編」で取り上げた、メキシコの作曲家、ポンセ作曲の「エストレリータ(小さな星)」であります。 楽譜はimslpに上がっているので最初の部分だけ示します。 この曲は、ハイフェッツによる編曲…