Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

クラシックのおいしいところをつまみぐい 

4-voice Canon at 6th descending 6度の4声カノン

同度およびオクターブを使った4声のカノンはまがりなりできた。まがりなりだけど。では、他の音程の4声カノンもできるのではないか。 他の音程の2声カノンあるいはそれに自由声部を加えたものは大バッハがたくさん書いているが、4声はあるのかな。知らな…

Canon a 4 四声のカノン

J.S.Bachは音楽の捧げ物のなかでいろいろなカノンを書いているが、中に4声のカノンがある。調べてみるとかなりのムリゲーで、さすがのバッハも結構苦労していて、四六の和音が出てくるのはいいことにしたらしい。 つい、気の迷いで4声のカノン、上等じゃな…

Manuel Ponce "Estrellita" Heifetz version

先日の三毛子のテルミンライブ「旅するテルミン 南アメリカ~帰国編」で取り上げた、メキシコの作曲家、ポンセ作曲の「エストレリータ(小さな星)」であります。 楽譜はimslpに上がっているので最初の部分だけ示します。 この曲は、ハイフェッツによる編曲…

Retrograde Canon 逆行カノンをつくってみた

逆行カノンというのは、最初から演奏するパートと同じ楽譜の最後から逆に演奏するパートが合わさって2声部の音楽になる、というものです。 ここでは、普通に最初から演奏するパートに対し、最後から逆に演奏するパートを2オクターブ下げて2声としています。…

Messiaen "modes à transpositions limitées" メシアンの移調の限られた旋法について

オリヴィエ・メシアンの「移調の限られた旋法」modes à transpositions limitéesは、メシアン自身の著書「わが音楽語法」Technique de mon Langage Musical(1944)(新訳では「音楽言語の技法」)で紹介され、広く知られている。 長音階(あるいは自然短音階…

The Beatles "If I Fell"

音楽研究者 藤野純也さんのブログで取り上げられていた"If I FeLL"のコード進行はジョン・レノンならでの革新的なものである。探せばワーグナーやリヒャルト・シュトラウスあたりに類似の進行はあるかもしれないが、このコンテクストで使うというところが革命…

Yonezu Kenshi "Lemon" 米津玄師 Lemon

こういう「要はセンスですよ」みたいな曲をアナライズしても虚しいのですけどね。でもやる(笑)下は"Lemon"のコード進行です。(ブリッジ部分は省略。間違ってたら指摘してね) youtu.be 。 ロ長調(B Major)で、特に難しいことは何もやらず、ポップスの王道…

J. S. Bach The Music Offering Retrograde Canon a 2

逆行カノンは、同じ旋律を順行で演奏したものと逆行で演奏したものが2声の曲として成立する、というものである。バッハの音楽の捧げ物にあるものが有名である。 この逆行カノンは同度で18小節。ほとんど例の王様の主題によっているのでかなり和声進行には制…

Stravinsky "The Rite of Spring" R.N. 91 Divided Violas

「春の祭典」の練習番号91では、ヴィオラが6 Vle. solo と指定されている。妙なのはここだけ調号(H dur)が指定されていることだ。ヴィオラのソリ以外はチェロとコントラバスのハーモニクスを伴うオスティナート(e fis cis h)でここは曲の他の部分同様調号な…

Ravel Sonatine Movt. 2 (2)

以前この楽章の冒頭部分のなんちゃって分析をしたことがある。 Ravel Sonatine movt. 2 - Jun Yamamoto 音楽を語る 今回は終わりの部分である。 Un peu plus lent qu'au débutのところから。 この4小節はcis のペダルの上で鳴っているのだが、小節ごとに細か…

アルビレオ音楽展・XXX (November 6, 2018 at Suginami Kohkaido)わたくし的感想

11月6日夕、作曲家集団アルビレオの第30回(!)演奏会にお邪魔しました。 <プログラム> 千原 卓也 落霞深き処に(2018・初演) Vn:鈴木睦美、Pf:伊倉由紀子安川 徹 ホルンとピアノのための「Mi-4-Si」(2016~17・再演 Hr:三好直英、Pf:下条絵理子廣…

J.S.Bach French Suite No.4 Es dur BWV 815 Gavotte

ディーター=デ=ラ=モッテ(Diether de la Motte)の大作曲家の対位法( 瀧井敬子・訳)に大バッハのBWV815のガボットについて「この曲は桁外れに不協和な響きがする。この曲では不協和音がひどく目立つのだといった方がよいのかもしれない」といって2ページ…

クレイジー・ケン・バンド 「タイガー・アンド・ドラゴン」

みなさんおなじみのクレイジー・ケン・バンドの「タイガー・アンド・ドラゴン」。名曲であります。カラオケで歌うと「ハッ!」が気持ちいいでしょうね。 この曲のサビ部分「俺の話を聞け!」のところの和声が、大変クラシカルで美しい。こんな感じであります…

Ravel "Gaspard de la nuit" Movt.2 "Le gibet"

別にハロウィーンがらみということもないのですが、「絞首台」であります。 ラヴェルの「夜のガスパール」も音楽的発見の尽きせぬ泉でありますが、第二楽章の「絞首台」のほんの数小節を見てみます。音はこちら。 20小節目から。原曲はこの部分で転調するの…

マキシマム2018 電子音響初体験記

電子音響初体験記。「マキシマム2018」を拝聴してきました。初めての経験でもあり、下記は自分のためのメモで、シェアすることに何か意味があるかはわかりません。 星谷作品。ペンタトニックのフレーズと、無機的なブザー音、それにチューバの息音とが交錯す…

Bartok String Quartet No.4 Movt. 3

バルトークの弦楽四重奏曲第4番。第3楽章は、基本的に6音のクラスターの上でソロ楽器がメロディーを奏でるという形になっている。クラスターがどのような和音になっているか調べてみたいので、簡略化した譜面を作ってみた。音はこちら。 最初に導入されるク…

Tchaikovsky Symphony No.6 Movt.2

と、書きかけて、前にも書いたような気がして調べてみる。大丈夫、この楽章はまだ一度もとりあげてない。(時々、同じことを二回書いて自分で気がつかないことがある) 第2楽章の中間部、さらさらと転調していくところ。音はこちら。 4小節目から5小節目…

Schoenberg String Quartet No. 4 Movt. 3

シェーンベルクの第4弦楽四重奏の第3楽章の一部の和音構成をschematicに表現してみたものである(音はこちら)。原曲では第一バイオリンが主に旋律を担い、下3パートが8分の6の3拍目、6拍目に和音を打っている。12音技法で書かれており、セリーの扱いが…

Hindemith ヒンデミットの和声解析の例

ハンフレー・セアール「20世紀の対位法」からの孫引きなのだが、ヒンデミットの和声分析の例が挙がっているので取り上げてみる。ヒンデミットが挙げている例が次の最上段の5声の和音進行で、ご本人は「恐ろしく不快な進行」だと言っているらしい。音はこち…

自作(編曲)解説 武満徹「死んだ男の残したものは」

去る10月2日に双子座三重奏団による「戦争と音楽」ライブにおいて、谷川俊太郎作詞 武満徹作曲の「死んだ男の残したものは」の双子座三重奏団用の編曲をさせていただきました。 下の楽譜で一番上に書いたのがいちばん単純化されたコードです(音はこちら)。…

Beethoven Symphony No.7 Movt. 4

ベートーベンの第7交響曲の第4楽章のエキサイトポイントである104小節目から、模式的な譜面を起こしてみました。なにかもやもやする時はベートーベンに限りますな。(個人の感想です) 最初の〇で囲んだB#の音が、スコア上チェロではC ナチュラルになってい…

まんぞヲ「まぶろぅらるの六の森」楽曲分析

まんぞヲさんの名曲「まぶろぅらるの六の森」の楽曲分析をしました。(間違いのご指摘など、ありがとうございました>あのまりあさん)下記の譜例は、もとのMIDI版の調(ハ短調)によっており、和声もオリジナルのものです。下に最近行われたまんぞヲさんの…

Berg Piano Sonata op. 1

ベルクがシェーンベルクに師事して、一種の卒業作品として書いた一楽章のピアノソナタだが、あらためて譜面を見るとその異様さに気づく。 ダイナミクスとテンポの変化がきめ細かく記されている上に、アクセント記号、スフォルツァンドの書き分け、それと5-6…

中川俊郎先生の超作曲講座を勝手に受講してみる

中川俊郎先生(@t_nakagawa_jscm) の超作曲講座。Twitter から勝手に転載させていただきます。 ============================================= ●素早く上達する作曲教室〔その1〕。(1) まずあなたが生理的に受けつけない、自分の曲だったら金輪際使わない…

音楽。生演奏と録音と打ち込みとインターネットと。

以前、友達の友達くらいのジャズピアニストの方が「CDなんて(録音なんて)音楽ではない。音楽は、ライブで聴いてはじめて意味がある」という趣旨のことをおっしゃっていて「じゃああなたのCDはナンなのか」と聞きたいところだったがそれはともかく… 作…

Mozart String Quintet g moll K516 Movt. 3

モーツァルト、K516、g mollのクインテット、第3楽章、14小節目。なんか気になる。第2ヴィオラのgと第2ヴァイオリンのgesが同時に鳴った上、gはaに上がるのだがチェロのfにつながって聞こえるのもうまくない。gをgis にするか、b a g a ではなくb a b cにし…

Mozart Piano Sonata K281 Movt. 2

ここのダイナミクスは悩むところですね。手書き稿の二段目、1小節目にフォルテ、なぜか4小節目にピアノの指定がある。5小節目にピアノならまだわかるのだが。しかも右手は明らかに4小節目にピアノが書いてあるが、左手は小節の最後にかかっていて、かなら…

Mozart Piano Sonata K280 F dur Movt. 1

モーツァルトにケチつけ、その2。 ヘ長調のピアノソナタK280の第一楽章だが、これもモーツァルトの耳がよすぎるせいなのではないかと思うのだが…17小節目から(音はこちら)。 19小節目、21小節目の赤で囲んだ部分が気になる。とりあえず4声体にして、適当…

Franck Violin Sonata 1st Movt.

超有名なフランクのヴァイオリンソナタ。第一楽章の第二主題。そもそも第一主題はさらっとした9度の和音の分散和音。第二主題は少々手がこんでいる。 要は、繰り返される赤枠で囲んだ和声進行が発明である。V7から長三度下の長三和音の第一転回形にバスを動…

The Scale of Orpheus (奥泉光「鳥類学者のファンタジア」から)

奥泉光さんの「鳥類学者のファンタジア」は大変面白いファンタジー小説である。 音楽も物語の主要なテーマであり(ちょっとネタバレだが)「オルフェウスの音階」という一種の音列が登場する。 これは弦なり板なりの発音体の長さをフィボナッチ数列に従って…