Jun Yamamoto音楽を語る

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クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

J. S. Bach Well-Tempered Klavier Book 1. Fugue h moll BWV869

このフーガは大変複雑である。テーマからしてすべて倚音とその解決の組み合わせになっている。

この答唱が、本来属調で、5度高く(4度低く)出て、冒頭二つの音については変応し、終結部も原調に戻るために変化するのはいいとして、途中から4度高く(5度低く)なっている。この変化はよくあることなのかどうかが気になる。

この部分なんかは、和声音はバスのDだけで、上三声は全部倚和音である。

反復進行の部分はすらすらとわかるのだが、例えばこの23小節目のアルトにH#、バスにHという重複などは相当響きも悪くて気になる。こういう部分が多々見受けられる。リヒテルの淡々とした演奏を聞いていると難なく通り過ぎてしまうのだが、理屈をつけて理解しようとするとなかなか一筋縄ではいかない曲である。