2026年6月9日(火)グループNEXT 第27回作品展

Brahms 6つのピアノ小品 作品118-3 中間部
ト短調からロ長調という遠い調への転調。

ロ長調部分の微妙な掛留の交代。

見にくすぎる。面倒なのでハ長調に移調しちゃう。

ヒヤシンスの時に 池上敏 遺作 世界初演 演奏会
松任谷由実 静かなまぼろし m-flo version の奇妙な音
「静かなまぼろし」はユーミン(松任谷由実)の名作であるが、m-floが"Dear Yuming"でこれをカバーしていて、とても面白いアレンジなのだが、どうしても奇妙に響くのが、「そのとき、まぼろしを、みてるきがした」というフレーズの終わりの「た」の音である。
ひとことで言えば、この「た」の音は、和音の7度音で、それが放りっぱなしになっているのがこの違和感の正体ではないかと思う。
下記の譜例はOriginalは原調のまま、m-flo versionはもともとBb のものを原調にそろえてGに直したものである。赤で囲った部分がオリジナルと違う部分である。オリジナルが3小節目「きがした」をF#7-Bmという明確な終止にしているところを、m-flo版でははずしている。

Phidias Trio vol.13 “Re-invent” 感想

Phidias Trio vol.13 “Re-invent”
2025年12月26日(金)
19:00開演(18:30開場)
杉並公会堂 小ホール(杉並区上荻1-23-15)
【プログラム】
山本裕之: わしらの新しいご領主に …そして税金を払う岩手の農民たち(2025 委嘱新作)
※原曲: J.S.バッハ: Mer hahn en neue Oberkeet BWV212 (「農民カンタータ」)
山本裕之: 三つのインヴェンション(2025 委嘱新作)
山本裕之: 楔を打てど、霧は晴れず (2006)
山本裕之: 輪郭主義・ミニ Contour-ism mini (2012)
【出演】
Phidias Trio (フィディアス・トリオ)
ヴァイオリン・ヴィオラ 松岡麻衣子
クラリネット 岩瀬龍太
ピアノ 川村恵里佳
ソプラノ 坂口真由(ゲスト)
バス 牧山亮(ゲスト)
(感想)
Phidias Trioの皆さんの技術の卓越はよくわかっている。(拙作の初演も完璧だった)今回は四分音を多用する方向に向かった。山本裕之さんの作曲技法もこれまた大変なもので、四分音なしでもそのシームレスな転調の扱いを聴くだけでもお腹いっぱいになるのに、さらに四分音が取り入れられて、バッハはバッハで確たるものがそこにありながら全く違うものになってしまう。どこまですごい人たちなのだろうかと思う。
それに付き合うソプラノ・バスもすごい。
今回の農民カンタータも何も予備知識なしで聞いたら単に音のはずれたバッハを聞かされた…みたいになってしまうところだ。もちろん、この演奏会に来るオーディエンスの大半はソルフェージュもばっちりの少数精鋭の手練れの聞き手だろうからそんな心配はないのだろうが、しかし、私のようなフツウのクラシックファンにはやや難解であったと正直に申し上げておく。
山本裕之作品の重層性も卓越も重々わかるし、Phidias Trioのすごみもわかる。そのエネルギーはどうしても難解な方へ流れがち…いや、もののわかった人に対してそれは失礼なものいいというものだろう。失礼しました。
【山本裕之: 輪郭主義・ミニ】
ピアノは12音平均律にチューニングしてあり、ヴァイオリンが四分音を含めて少しずつ「ずれた」「ユニゾン」を追っていく、という印象である。この曲に関して言えば、ヴァイオリンとピアノの音色の違いが際立っているために、「四分音とぶつかることでピアノの音程が変って聞こえる」という効果は少なかったように思う。要はヴァイオリンの平面とピアノの平面を別々に、私の耳は捉えたように思う。
【山本裕之: 楔を打てど、霧は晴れず (2006)】
冒頭は前曲同様にクラリネットとピアノの単旋律の「ユニゾン」風に始まるのだが(リズムは凝っているが)確かにクラリネットの音が四分音になってピアノの音とぶつかるとむしろピアノの音が「歪んでいる」ように聞こえる効果がある。クラリネットの音の方がピアノの音と親和性が高いのだろうか。
【山本裕之: わしらの新しいご領主に …そして税金を払う岩手の農民たち(2025 委嘱新作)※原曲: J.S.バッハ: Mer hahn en neue Oberkeet BWV212 (「農民カンタータ」)】
【山本裕之: 三つのインヴェンション(2025 委嘱新作)】
農民カンタータの編曲の間に、三つのインヴェンションが挟み込まれるという形で上演された。
ごく普通にバッハの音楽が平和に進行しているかと思うと、突如「山本裕之的変容」が訪れる。非常に高度な技なのだが、ちょっと聞くと単に音程が悪いのかと最初のうちは思ってしまう(思わないけど)。
四分音がちりばめられると、12音平均律になれた(私の)耳は、12音平均律を外さないで演奏される声楽パートに縋りついていく。やめてくれ、この混乱を止めてくれという気持ちになる。情け容赦なしに「はずれた音」を突っ込んでくるクラリネットとヴァイオリン。
挟み込まれたインヴェンションは、12音平均律の「協和音」を挟みながらではあるが、「普通の現代音楽」として聴くので、それほど耳は混乱しない。一休みである。
しかし、それもつかの間、今度はバッハの方が「異質なもの」として鳴り始める。作曲者はそれだけでは満足しないで、異質なバッハそのものにも強烈なトゥイストを加えて(過激な転調とか)異質なものをさらに異界化する。聞き手の心はばらばらにされる。どこにも手をかけるところなく絶壁に放り出されたようだ。
また、一見普通のバッハが戻ってくるが、もうだまされないぞ、と身構えてしまう。案の定異様な転調が挟み込まれる。さらに四分音が挿入されて、短調なのか長調なのかすらわからない闇鍋状態に。
クラリネットの異常な高音。クラリネットとピアノの四分音離れた「ユニゾン」。
いつのまにか半音ずれている転調。いや、ずれたと思わせてずれてないのか(私、絶対音感がないのですごく騙されやすい)クラリネットはよく持ち替えずに吹いているな。おそらく譜面はとんでもないことになっているはず。
この四分音の嵐のなかで、ソプラノとバスが普通に3度でハモっているのが奇跡に思える。
インヴェンションIIIが挟み込まれるころには耳はへとへとになり、一方聞く気構えの方は開き直っている。
すごい曲・演奏を聞かせていただきました。集客は満席とは行かなかったようですが、聞き手を選ぶ演奏会だと思いました。
山本裕之さんは「クラシカル寄りで書いた」とおっしゃっていましたが、所謂伝統的なクラシックのロジック(アンセルメのいう「ドミナントへの軌道」)というものは存在していたのかもしれませんが、私にははっきりとはつかめませんでした。
残る疑問は、このスコアを山本裕之さんはDoricoで書いたのかどうか、という点である。伺い損ねてしまった。【追記】Notation soft はDoricoだそうです。
Tonight from "West Side Story"
2021年の映画、West Side Storyを観た。音楽は録音はともかく1961年版とほぼ同じ構成で、非の付け所のないバーンスタインの大傑作であるが、映画としては役者含めやっぱり私は1961年版の方が好きだなぁ。
ミュージカルとしても名曲ぞろいなのだが、ジャズで取り上げられる頻度が低いような気がする。ガーシュインと比較すれば歴然と違うだろう。おそらくジャズナンバーにするにはポップスとしても使いにくいのだろうと思う。スコアを見るとバーンスタインの書法はあくまでクラシカルで、バークレイ流のコードを振るのが難しい。無理にコードを書くとこういうことになってしまうのだ。(2021年版のバルコニーシーンによる。マリアはAbで歌い出している)

ブロードウェイ版では、歌い出しはBbなので、見た目が多少マシである。おそらくバーンスタインはこの調で作曲したのだろう。

Mozart Fantasia in D minor K.397
細かく転調していく部分、ほとんど5度進行だが…
