2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
ベートーベンの第5弦楽四重奏曲の第二楽章はメヌエット。ベートーベンは第二楽章にスケルツォを持ってくることも多いが、ここでは典雅なメヌエットを披露している。これはなんということもないのだが、いい曲だなぁ。 まず主部。 赤枠で囲ったEの和音、ここ…
交響曲の父、ハイドンの最後の交響曲の終楽章である。スケールを繰り返してひと騒ぎしたあと、すっと静かになるところで心憎い転調をしてみせる。 84小節目でA Major からすっと引いてB minorになる呼吸が美しい。図式的に大譜表に書いてみる。 がちゃがちゃ…
同じ根音(ルート)を持つ、長三度と短三度の組み合わせによる和音は4和音は8つ、厳密には7つしかない。このほかにも長二度を含む4和音が2つあり(C7b5とCaug7)これについては後述する。 長三度は半音4つ分、短三度は半音3つ分であるから、音の間隔が…
幼い頃に聞いて、クラシック音楽に興味を持つ原因となった曲の一つであります。曲はアイデア一発みたいなところがあるのですが、オーケストレーションの妙が人をそらさない魅力があります。 第一楽章は王の主題をあらあらしく提示してから木管のコラールが短…
わが師匠イチオシのシューベルトの最後の弦楽四重奏曲である。名曲であるのは言うを俟たないが、第二楽章に妙なところがある。 上の譜面の二段目3小節目の終わりにVln1とVaで(G Bb) という音型が出てくる。ここではこの小節自体、Gmであるのでまったく普…
この曲は、あれだけ仲が悪かったルービンシュテインが死んで、さぞよろこんだかとおもいきや、チャイコフスキーが彼に捧げたピアノ三重奏曲である。 二部構成で、第二部は変奏曲である。チャイコフスキーの変奏の妙に操られてついつい聞き逃してしまうが、第…
ラヴェルのおそらくもっとも人口に膾炙している曲の一つ、なき王女のためのパヴァーヌでありますが、どうもピアノ版とオーケストラ版の違いが気になる。具体的にはハープのグリッサンドの扱いであります。 ピアノ版の最初のアルペジオは次のようになっていま…
ネタの使いまわし第二弾。 ドビュッシーのアラベスク第1番の気になるところ。 この70小節目、これがなんともこの気になる。 一番上がオリジナルの場合だが、まず1にかけて平行8度がある。それはいいとして、3の和音、ソプラノとバスがオクターブで しかも第…
これは前にも取り上げたネタなのですが。 モーツァルトの第40番ト短調交響曲の終楽章。展開部に入るところがほぼ12音音楽のようになっている件。 下の譜面の最初の段で、ダブって出てくるのは赤丸で囲ったBbとC,Dの経過音だけ。あとはGを除く11音が出てきま…
バッハも調子よく聞いていると、時々「えーっ」というところが出てくる。鍵盤パルティータ第6番のGigueであるが、そもそも主題(S)がすごい。いきなり減七度の跳躍が2回出てくる。1のところはe a と五度の跳躍になっている。後でどうするんだろうと心配に…
荒川静香さんのおかげで、大変ポピュラーになったこのアリアであります。まそのー、プッチーニのアリアはどれも終わったときにどっと拍手が来るように書かれてるのは周知の通りであります。ただ、プッチーニの工夫はあの歌い上げる部分だけではなくて、歌い…
ラヴェルの古風なメヌエット、二ページ目です。ピンクでコードネームを入れました。濃い青色で矢印をつけたところは伝統的なカデンツになっているところです。 この後は調性は次々と変わっていきます。最初の小節がE Major、2-6小節目はD#上のフリジアン…
リクエストいただきました。ラヴェルの古風なメヌエットでありますが、この感じはシャブリエの影響が感じられますね。音楽そのものはラヴェルらしいものですが、特に終止形とかが。 最初の部分ですが、F#mで始まって 5度調の C#エオリアンで終止します。終止…
ビゼーの「アルルの女」組曲第2番第4曲、有名なファランドールです。といっても、ここで取り上げたいのは最初に出てくるプロヴァンス民謡に基づく短調の旋律の方です。最初にこの旋律の主部が提示され、カノンでもう一度繰り返されて、その後ファランドール…
先日の続きです。 ラヴェルの弦楽四重奏曲第4楽章の冒頭から次の部分、8分の5から4分の5に変わるところからです。テンポは8分音符の長さがそのまま4分音符の長さになりますので、テンポ感は変わりません。相変わらず急速調です。大譜表に簡略化したものを…
マーラーの実質11曲の交響曲の中でも人気のある曲だ。やっぱり第一番の交響曲というのはどの作曲家も力が入るのだろう。 さて、第4楽章の再現部であるが、第一主題に由来する下の音形が三回出てくるのだが、1回目はおとなしくハ長調で登場する。和声は C Am …
29番の大ソナタの第三楽章。この長大なソナタの、長大な緩徐楽章を弾ききるのはたいへんだろうと思うが、聞いていて、ベートーベンも#9を使ってるなと思ったので、ご紹介。 和声的には非常にシンプルな場面だが、嬰へ短調の属和音 C#7 に#9が登場する。(…
ラヴェルの初期の作品、弦楽四重奏曲の第4楽章を取り上げる。 いきなり、8分の5拍子でニ短調なんだかD dorianなんだかわからない、音階がBbだったりBナチュラルだったりするトレモロのユニゾンで始まる。 下は、その次の部分である。主題の第1バイオリンに他…
ベッリーニのオペラ「カプレーティとモンテッキ」の序曲である。この人は神童と呼ばれ、実際天才的な仕事をして34歳だかで死んだ。このオペラの初演は1830年で、ベルリオーズの幻想交響曲の初演がその年の12月だという。 明るく楽しい音楽である。ピアノスコ…
ドヴォルザークの第8番交響曲。美しいところとイモったいところの交錯する音楽ですが、フィナーレの一節です。ドヴォルザークお得意の華やかなパッセージ。 最初の8小節はFとGbの交代ですが、平行5度を避けるためか、Gbの和音にはDbが抜いてあります。Gb…
高校のデコボコオーケストラで演奏したことのある懐かしい曲です。もちろんモーツァルトの、いや古典交響曲の最高峰であり、41番のジュピターとならんで奇跡といっていい名曲であります。 この第三楽章のMenuettですが、ほぼ2-3声部からなる単純な、しかし…
チャイコフスキーの最高傑作、交響曲第6番の第一楽章の出だしの部分をみてみたいと思います。Eのドローンの上に主調のロ短調に対しIV度調のホ短調でファゴットが憂鬱な、しかし上行指向の旋律を切れ切れにだします。最後は主調のドミナントであるF#の和音、…
ラヴェルの美しいピアノソロの佳品でありますが、和声的にはおいしいところが盛りだくさんであります。最初からしてEMajor9とAMajor7の交代でもちろん9thも和音構成音として扱われ、7thも機能的には書かれていません。 3小節目はAMajor7とD11の交代で、C#が…
ピアノコンチェルトといえばまずこの曲というくらい有名な曲であるが、相当変わった曲でもある。有名な冒頭部分のメロディ(変ニ長調)はどうも第一主題というわけではなさそうだし(再現しない)、つぎつぎと楽しいメロディーが湧き出てきてソナタ形式の枠…
この曲はソナタ形式博覧会みたいになっていますが、第三楽章もソナタ形式。愛らしい曲なのですが、ずっと分散和音とその変化でできていまして、和音進行も特に取り立てて言うほどのこともない単純なものですが、いいのですね。ちょっとした音の使い方が重み…