2016-01-01から1年間の記事一覧
ブラームスのピアノ協奏曲第一番というのは、ずっと敬して遠ざけてきたところがある。 なんと言っても1857年完成だから、ブラームス弱冠22才。暗い情熱にあふれかえっていて、到底消化できない感じがしていたからである。 それが、やっとじっくり聞いてみよ…
グリーグのピアノコンチェルトの第一楽章のカデンツァのところ。 DmからE7の動きは原調のイ短調、次のGm7からA7の動きは下属調のニ短調になっている。E7にはいる直前のD#の音は倚音でEに解決する。A7の直前のG#も倚音でAに解決する。 次のBbの和音は、イ短調…
あの印象的な第一番にくらべて、演奏機会の圧倒的に少ない、気の毒な曲である。CDも出ているが、第一番が数え切れないのに対し、ごくわずかである。 作曲の経緯などはWikipedia に詳しいので省略するとして、第一楽章の最初のテーマだが、私は長年勘違いして…
この曲の冒頭は絃楽器とファゴットのユニゾンなのだが、転調が多く、これをソルフェージュで初見視唱の課題に出されたらつらい。音はこちら。 単旋律で聴いていると40番交響曲の第4楽章にもそういうところがあるが、ほとんど12音音楽である。番号を振っ…
昭和歌謡の名曲、欧陽菲菲さんの絶唱で有名な「ラブ・イズ・オーバー」をJUJUさんがカバーしているのだが、これの編曲者が松浦晃久さんで、そのリハモナイゼーションがチャーミングなので、コピーしてみました。音はこちら。 最初の部分はほとんど原曲を忠実に…
いまさらながらの「白鳥」である。サン=サーンスの曲の中でも一番聞かれているのではないだろうか。おびただしい編曲があるし、アンコールなどでの演奏機会も多いだろう。 シンプルな一息の旋律。特に形式もなく、転調を経て冒頭部分がもどってきてすんなり…
David Fosterの音楽は常にリッチでキャッチーで、聴く人をそらさない魅力をもっている。この曲は最初オリヴィア・ニュートン=ジョンとのデュエットで発表され、"David Foster"という題名のアルバムに入っている。ここではアルバム"The Best of Me"のソロバ…
気になるコード進行というものがある。どうなっているんだろう、と思いながら長年放置してあったりする。耳のいい人は楽譜に印刷されたように聞こえているんだろうが、こちらはなかなかそうはいかない。なんどもピアノで確かめて、ああそうだったのか、とい…
これを最初に聞いたときはびっくりしました。楽譜はたしかにイ長調らしいのですが、機能的な和声を書こうという意思はまったくないし、対位法的に書こうという意思もみとめられない。絃楽器で勢いよく演奏されるとなんとなく納得してしまいますが、そうとう…
最近は「現代音楽」という言葉がはやらなくなった。確かに、60年代ならともかく、21世紀に入って、シェーンベルク以降の西洋音楽をまとめて「現代音楽」というと幅が広すぎるということもあるだろうし、もともとcontemporary musicの訳だろうから、現代に広…
竹内まりやさんの「元気を出して」はもともと薬師丸ひろ子さんに書いた曲だが、まりやさん本人のカバーバージョンがあり、そこでは最後のコーラス部分に薬師丸さんが参加している。 このコーラスが秀逸なので、採譜してみた。音はこちら。 実に美しい対旋律…
竹内まりや featuring 木村拓哉 の「今夜はHearty Party」である。このdanceable tune はバークレーメソッドのお手本のようなコード進行になっているので、解析(というほど大げさなものではないが)してみたい。 Bbメジャーの曲だが、ところどころでスパイ…
ブラームスの第一交響曲冒頭。つかみはばっちりですよねぇ。ブラームスが何年も考え抜いたんだから当然といえば当然ですが。この部分は順次進行に伴う、掛留音と偶成和音の嵐であります。rが掛留音、四角く囲った部分が、必ずしも機能的ではない、経過音の…
チャイコフスキーの悲愴を取り上げるのは「私の記憶がたしかならば」二回目。第3楽章のブライトコプフの楽譜で練習番号Dの部分。 同じ音形がバスの上で、バイオリン、クラリネット、ビオラ、ホルンと受け渡されるのですが、ちょっと変わった響きになっていま…
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」という小澤征爾・村上春樹両氏の対談があるのだが、その中でブラームスの第一交響曲第4楽章のホルンの息継ぎ問題が語られている。本には一切譜例がないのだが、著作権も切れているのだし、例示なのだから、ちょっと…
ベルクの音楽の独自性、美しさ、は十分認めるものであるが、時々、「これはいくらなんでも間が抜けてないか」と思うときがある。 上の譜例はバイオリン協奏曲の第一楽章で、リズミカルな主題が提示されるところだが、これはまぬけである。音はこちら。 下の…
「けんかをやめて」といい「終楽章」といい、竹内まりやさんの描く女はもうとんでもない奴ばっかりだ。「誰が悪いわけじゃなくて」って悪いのはおまえだろ。あやまれ(笑) 「終楽章」は9thのかたまり。どんだけ9th好きなんだよっていう。9thにすべて赤丸を…
祝!宇多田ヒカル復活! というわけで『俺の彼女』(アルバム「Fantôme」から)のこの部分。 このメロディーラインは4小節目の頭でC に行くべきところC#にいく。これは新しいね。
Diana KrallのWallflower は大変なアルバムである。古今の名曲のカバーアルバムで、Krallが歌っているというだけでなく、プロデュースが David Fosterなんである。あー。 で、California Dreamin' はJohn Phillips and Michelle Phillipsの曲で、The Mamas &…
ベートーベンの10番の弦楽四重奏曲の第3楽章は、お得意の1小節一拍で振らないと振りきれないスケルツォである(速度表示はPrestoになっている。) 最初から飛ばしていく、急速な音楽であるが、途中でpiu presto quasi prestissimoになる。 そこまでも相当過…
注文しておいた武満徹「ヴィオラコンチェルト」の楽譜が届いた。気になっていたところをチェックしたが、三善晃さんやうちの師匠のスコアなどとくらべるとはるかにわかりやすい。(1)15分もかかる大曲なのに、アレグロがない(そういう概念がない)(2)…
昨晩は谷山浩子さんの猫森集会season 15 at Space Zero に行ってきました。Cプログラムのオールリクエストです。 谷山さん自身は14の時から音楽活動をされているので、芸歴46年、曲の数もレギュラーアルバムだけで30枚以上、他のアーティストにも曲を何十曲…
「中国・四国の作曲家2016 in 徳島」10月29日 にて、自作のトランペット独奏曲が初演されます。生まれて初めての経験なのでびびっています。チケットあります。
初めて第一バイオリンが入ってくる部分。リヒャルト=シュトラウスとしてはそれほど驚くような和声の扱いではないと思いますが、赤矢印の部分は普通じゃないですね。11小節目のバスのdisは倚音ですが、シュトラウス印。音はこちら。
クラシック音楽の即興演奏というのは、もともとは行われていたのだろうけれど(バッハ時代のオルガンの即興演奏とか、コンチェルトグロッソでソロが即興演奏するとか、バスコンティニュオだけ見てチェンバロを弾くとか。モーツァルトやベートーヴェンもコン…
シェーンベルクの作品番号の若いものには好きな曲が多い。これもそう。 編成が斬新だったので当時は賛否両論あったようだが、それ以上に音の使い方がすごい。 だいたい、ホ長調と銘打ってあり、最初にホ長調の調号がかいてあるのに、ハナからこれである。と…
この作品がNHKの朝のFMの番組で流れていて、「おお!」と思ったのが、鍋島作品を認識したはじめ、であった。すみません、遅くて。 大きく上下に展開したピアノのC音の強奏から始まるこの曲は、アルトサックスの最初の4つの音、C E D Bb これでノックアウトさ…
『ワルキューレの騎行(Ride of the Valkyries)』は、ワーグナーの楽劇 『ニーベルングの指輪』の第一夜 楽劇『ワルキューレ』の第三幕の前奏曲です。 このブログ、手当たり次第にいろいろなものを取り上げてきたので、筆者自身も何をいつどういう形で取り上…
ハンコックがMaiden Voyageというアルバムを出したのが1965年。ここで聞くことのできるイディオムを多少なりとも消化するのに50年かかっているとはなんたることであろうか>ワシ 日本のピアニストでも坪口昌恭さんあたりは、ハンコック節を完全にマス…
ネット上に、非和声音について、日本語とフランス語、あるいはイタリア語とを併記したサイトがないので、書くことにしました。 非和声音とは、読んで字のごとく、コードにない音のことですが、本来のコードの音が「ずれている」ととらえた方が直感的にわかり…