バルトークの青髭公の城の第6の扉から、比較的バルトークの和声構造が見えやすい部分として、練習番号102をとりあげて、スケルトンを作ってみた。音はこちら。 時には長三和音といった耳になじみのある和音に減8度とか緊張をもたらす音を加える①とか③とか、…
バルトークの陰々滅々オペラ「青髭公の城」より、第6の扉の開くところの音楽である。非常に特徴的な耳に残るサウンドだが、音の構造としてはそれほど複雑ではなく、半分ずつの第2バイオリン、ビオラ、チェロ、それとフルート3本のフラッター、ホルン2本にA m…
プッチーニはトスカに限らず、ボエームでもお蝶夫人でも自由な(機能的でない)三和音の平行移動を使っているが、トスカの幕切れ近くに分かりやすい部分があるので切り取ってみた。楽譜は Carlo Carignani のピアノ・リダクションを拝借した。 赤枠で囲った…
指ならしというかリハビリテーションというか、いまさらながらインベンションとシンフォニアなんぞ弾いてみたりしているのだが、大バッハはこういう小曲でもあなどれないテクニックを存分に盛り込んでいるのにあらためて驚く。 シンフォニア(3声)4番のニ短…
ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」の第一幕の終わり。全員が浮かれ騒いでいる中で、主人公のネモリーノだけが焦っているという場面。ネモリーノはいかさま薬屋のドゥルカマーラ「博士」から買った(偽の)惚れ薬が効果をあらわさない内に、思いをかけている…
日本作曲家協議会ニューカマーズ(新入会員)演奏会2019と2020の録画が公開されました。2020年に拙作"Rainfall Shuffle"も含まれております。 2020年演奏会(「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」)の再生リストはこちら (同演奏会の感想) 日本の作曲…
云わずとしれたラヴェルのボレロであるが、ストイックにC G のバスの上で延々演奏して、最後に爆発して、しかしまたC Gに戻って終わるという様式美を備えている。ボレロの最後の部分を調べてみる。音はこちら。 最後のB旋律が終わるところ、321小節目から模…
ハイドンも頑張って対位法的な書法を取ることがある(あまり長いものはないが) 93番交響曲の第1楽章から次のようなパッセージ。時々こういう部分があるのは大変効果的である。 rは掛留音、aとしたのは倚音だが(赤の枠で囲んだもの)バッハはあまりこうい…
ヒマなので、掛留音の種類を数え上げてみた。IIIとVIIの和音を考えず、また短調における上行する導音の掛留を考えなければ、ざっとこの17種類ではないかと思う。 I から II へ 2種類 I から IV へ 1種類 I から V へ 1種類 II から I へ 2種類 II から V へ …
半音進行を主体にした、オクターブずつ下がってくるカノンだが、かなり奇態なものになってしまった。orz youtu.be
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モーツァルトがそのレクイエムのラクリモサの後に入れるつもりだったといわれるアーメンフーガのスケッチ最初の14小節に続けてフーガを書きました。すでに先人たちがそれぞれに工夫をこらした補作を行っていますが、新コロ騒ぎでヒマになってしまったので、…
モーツァルトがおそらくは計画していた、レクイエムのラクリモサにつづくアーメンコーラス。残されたスケッチ14小節から、5人の補作を集めている動画があったので聞いてみた。 いずれ劣らぬ力作だとは思うが、個人的にはDruce版の終わり方がかっこいいと思う…
ショーソンの「詩曲」冒頭。 全体がショーソンの発明といってもいいと思うが、基本的にはEb minorの上に、Ebm → Cb7 とか D7 → B7 とかの属七和音で三度平行移動するというアイデアが頻出している。属七の5度下方変位(7b5) や 短七和音の5度下方変位(m7b5…
中森明夫「青い秋」を読みつつ、故・北村昌士さんのことを思い出していた。彼との接点はおそらく1977年に、ほんの短期間、Thioniteというプログレッシブ・ロックバンドに参加していたというだけなのだが。 Thioniteは一度だけライブハウスで演奏したことがあ…
フォーレの愛すべきレクイエムから奉献唱の一部を。 フォーレの和声マジック。要は偶成和音なのですが、D A7と来て次がF7になるという不思議な進行であります。本来の調性のD Major であれば C# E F# であるはずの音が、ひっくり返ってC Eb F になってしまい…
Quincy Jonesの The Dude に入っている "Just Once" であります。ポップスの作法のお手本みたいな曲で、ここでもお約束のIV度へのII-Vが出てくるのでご紹介します。 14小節目がサビ頭の印象的なリズムですが、直後(15小節目)にIV度へのII-Vが出てきます。…
昨日の「題名のない音楽会」で言及されていた「鏡のカノン」。むしろ対面カノンと言った方が正確かと思うが、要は五線譜を普通に見た形とさかさまに見た形を同時に演奏して曲が成り立つというカノンである。 KM先生の例をヒントにでっち上げてみた。ここでは…
"so long long ago"(松任谷由美)の「或る朝空をふと見上げた時」の部分のコード進行。Gm7 Dm7/Bb7 Ebmaj7 Abmaj7 (Bb major: vi iii/I7 IV VIb)なのだが、これもIV度へのii-V(Im7-I7-IV)の応用であることがわかる。普通なら、Gm7 Fm7/Bb7 といくところをF…
カフェ・ムリウィにて掲題お三方のライブに行ってきました。 東輝美さん、OTTさん、ヘリさんとそれぞれ強烈な個性を発揮されているみなさんで、静かな炎といったものを感じさせるライブでした。 東さんのはおそらくボッサの翻訳と言いながらかなり身を削るよ…
Jun Yamamoto 音楽を語る ブログエントリー一覧 (右側の日付をクリックすると当該記事にとびます)2019.11.01.現在 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のフーガ」を添削する 2019/10/12 12:18:49 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のコラール」を添削…
当日の演奏者(ここでは fl vn vc pfの4名とした)を曲ごとに書き込み、各演奏者の都合の悪い練習スロット(日時)にその名前を書き込めば(都合によりそれ以外は0で埋めないといけないという不細工仕様ごめん)、「自動的に」曲ごとスロットごとに、練習可…
亡父が高校教師をしていたので、年度初めの時間割作成の困難についてはよく聞かされていた。ここでのパラメーターは、毎日何時限まであるのか、先生は誰か、科目の種類、音楽室・図画工作室などの数、運動場をいくつに分割可能か、などであり、完璧にすべて…
ショパンのピアノコンチェルト第1番、ピアノの入る直前の部分である。ショパンのオーケストラ書法はなってないという批判もわかる。声部の処理がゆるゆるで、必然性がない。弦主体だから目立たないが、管楽器でやるとつぎはぎだらけになってしまう。逆に言う…
譜面にもある通り、バスのテーマは二回繰り返す。かつ、ソプラノとアルトは一回目と二回目で上下逆になって繰り返している。構造は至極簡単だ。 和音を調べてみるとほとんど減三和音だが2番目が増三和音、12番目が増6度の和音(形としては属七の5音除きと同…
デイヴィッド・コープ(平田圭二・監訳)「人工知能が音楽を創る」の中に、コラールだけでなく、イ短調のフーガがまるっと入っていたので見てみた。ざっと聞く分には「人工知能がこれを創ったのはすごいなぁ」と思うのだが、コープの手法はあくまで過去のデ…
David Cope 「人工知能が音楽を創る」の中に、コンピューター生成されたバッハ・スタイルのコラールがまるっと一曲収録されている。音楽的な喜びがない(あるいは少ない)といった高度な話は置いておいて、少なくとも音の間違いが多い。思わず添削してしまい…
本シンポジウムの問いかけに対して、川島素晴さんは「Nさんの仕事をAIがやるのは(当時も今も)無理であった」という立場であり、将来的にできるようになるかもしれないが、それは人間の作曲家との「エンドレスな追いかけっこになるだろう」ということである…
昨日はお付きで掲題ワークショップに行ってきました。国立音楽大学作曲専修さんは常に意欲的な企画をしておられてすごいですねぇ。講師はナターリア・テルミン(テルミン博士ご息女)マリア・テルミン(同ご令孫)ピョートル・テルミン(同ご曾孫)竹内正実…