Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

2020年2月「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」動画公開

日本作曲家協議会ニューカマーズ(新入会員)演奏会2019と2020の録画が公開されました。2020年に拙作"Rainfall Shuffle"も含まれております。 2020年演奏会(「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」)の再生リストはこちら (同演奏会の感想) 日本の作曲…

谷山浩子「銀河通信」テルミン・チェロ・ピアノのおうちコラボ。ピアノで参加しました。

Ravel "Bolero" last 15 bars

云わずとしれたラヴェルのボレロであるが、ストイックにC G のバスの上で延々演奏して、最後に爆発して、しかしまたC Gに戻って終わるという様式美を備えている。ボレロの最後の部分を調べてみる。音はこちら。 最後のB旋律が終わるところ、321小節目から模…

Haydn Symphony No.93 Movt. 1

ハイドンも頑張って対位法的な書法を取ることがある(あまり長いものはないが) 93番交響曲の第1楽章から次のようなパッセージ。時々こういう部分があるのは大変効果的である。 rは掛留音、aとしたのは倚音だが(赤の枠で囲んだもの)バッハはあまりこうい…

Retardés 掛留音

ヒマなので、掛留音の種類を数え上げてみた。IIIとVIIの和音を考えず、また短調における上行する導音の掛留を考えなければ、ざっとこの17種類ではないかと思う。 I から II へ 2種類 I から IV へ 1種類 I から V へ 1種類 II から I へ 2種類 II から V へ …

3-voice (Octave) Canon in A dur

半音進行を主体にした、オクターブずつ下がってくるカノンだが、かなり奇態なものになってしまった。orz youtu.be

3-voice (Octave) Canon in fis moll

youtu.be

Fugue on the fragment by W. A. Mozart for his unfinished Requiem

モーツァルトがそのレクイエムのラクリモサの後に入れるつもりだったといわれるアーメンフーガのスケッチ最初の14小節に続けてフーガを書きました。すでに先人たちがそれぞれに工夫をこらした補作を行っていますが、新コロ騒ぎでヒマになってしまったので、…

Mozart Requiem To be written Amen Fugue, completed by 5 Successors

モーツァルトがおそらくは計画していた、レクイエムのラクリモサにつづくアーメンコーラス。残されたスケッチ14小節から、5人の補作を集めている動画があったので聞いてみた。 いずれ劣らぬ力作だとは思うが、個人的にはDruce版の終わり方がかっこいいと思う…

Chausson "Poem"

ショーソンの「詩曲」冒頭。 全体がショーソンの発明といってもいいと思うが、基本的にはEb minorの上に、Ebm → Cb7 とか D7 → B7 とかの属七和音で三度平行移動するというアイデアが頻出している。属七の5度下方変位(7b5) や 短七和音の5度下方変位(m7b5…

故・北村昌士さんのこと

中森明夫「青い秋」を読みつつ、故・北村昌士さんのことを思い出していた。彼との接点はおそらく1977年に、ほんの短期間、Thioniteというプログレッシブ・ロックバンドに参加していたというだけなのだが。 Thioniteは一度だけライブハウスで演奏したことがあ…

Faure Requiem "Offertoire"

フォーレの愛すべきレクイエムから奉献唱の一部を。 フォーレの和声マジック。要は偶成和音なのですが、D A7と来て次がF7になるという不思議な進行であります。本来の調性のD Major であれば C# E F# であるはずの音が、ひっくり返ってC Eb F になってしまい…

Barry Mann/Cynthia Weil "Just Once " in The Dude by Quincy Jones

Quincy Jonesの The Dude に入っている "Just Once" であります。ポップスの作法のお手本みたいな曲で、ここでもお約束のIV度へのII-Vが出てくるのでご紹介します。 14小節目がサビ頭の印象的なリズムですが、直後(15小節目)にIV度へのII-Vが出てきます。…

Mirror Canon

昨日の「題名のない音楽会」で言及されていた「鏡のカノン」。むしろ対面カノンと言った方が正確かと思うが、要は五線譜を普通に見た形とさかさまに見た形を同時に演奏して曲が成り立つというカノンである。 KM先生の例をヒントにでっち上げてみた。ここでは…

Yumi Matsutoya "so long long ago"

"so long long ago"(松任谷由美)の「或る朝空をふと見上げた時」の部分のコード進行。Gm7 Dm7/Bb7 Ebmaj7 Abmaj7 (Bb major: vi iii/I7 IV VIb)なのだが、これもIV度へのii-V(Im7-I7-IV)の応用であることがわかる。普通なら、Gm7 Fm7/Bb7 といくところをF…

日本語ボサノバのライブ 東輝美、OTT、Heliそれぞれの個性

カフェ・ムリウィにて掲題お三方のライブに行ってきました。 東輝美さん、OTTさん、ヘリさんとそれぞれ強烈な個性を発揮されているみなさんで、静かな炎といったものを感じさせるライブでした。 東さんのはおそらくボッサの翻訳と言いながらかなり身を削るよ…

Jun Yamamoto音楽を語る 過去記事の一覧(264件、ぐらい)

Jun Yamamoto 音楽を語る ブログエントリー一覧 (右側の日付をクリックすると当該記事にとびます)2019.11.01.現在 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のフーガ」を添削する 2019/10/12 12:18:49 David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のコラール」を添削…

演奏会リハーサルの時間割問題(エクセルで超簡単なものを作ってみた)

当日の演奏者(ここでは fl vn vc pfの4名とした)を曲ごとに書き込み、各演奏者の都合の悪い練習スロット(日時)にその名前を書き込めば(都合によりそれ以外は0で埋めないといけないという不細工仕様ごめん)、「自動的に」曲ごとスロットごとに、練習可…

演奏会リハーサルの時間割問題(とりあえずモデル化まで)

亡父が高校教師をしていたので、年度初めの時間割作成の困難についてはよく聞かされていた。ここでのパラメーターは、毎日何時限まであるのか、先生は誰か、科目の種類、音楽室・図画工作室などの数、運動場をいくつに分割可能か、などであり、完璧にすべて…

Chopin Piano Concerto No.1 Movt. 1

ショパンのピアノコンチェルト第1番、ピアノの入る直前の部分である。ショパンのオーケストラ書法はなってないという批判もわかる。声部の処理がゆるゆるで、必然性がない。弦主体だから目立たないが、管楽器でやるとつぎはぎだらけになってしまう。逆に言う…

Erik Satie "Vexations"

譜面にもある通り、バスのテーマは二回繰り返す。かつ、ソプラノとアルトは一回目と二回目で上下逆になって繰り返している。構造は至極簡単だ。 和音を調べてみるとほとんど減三和音だが2番目が増三和音、12番目が増6度の和音(形としては属七の5音除きと同…

David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のフーガ」を添削する

デイヴィッド・コープ(平田圭二・監訳)「人工知能が音楽を創る」の中に、コラールだけでなく、イ短調のフーガがまるっと入っていたので見てみた。ざっと聞く分には「人工知能がこれを創ったのはすごいなぁ」と思うのだが、コープの手法はあくまで過去のデ…

David Cope氏のEMIによる「バッハ様式のコラール」を添削する

David Cope 「人工知能が音楽を創る」の中に、コンピューター生成されたバッハ・スタイルのコラールがまるっと一曲収録されている。音楽的な喜びがない(あるいは少ない)といった高度な話は置いておいて、少なくとも音の間違いが多い。思わず添削してしまい…

第26回AI美芸研 「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら・2」を聞いて考えたこと

本シンポジウムの問いかけに対して、川島素晴さんは「Nさんの仕事をAIがやるのは(当時も今も)無理であった」という立場であり、将来的にできるようになるかもしれないが、それは人間の作曲家との「エンドレスな追いかけっこになるだろう」ということである…

【テルミン発明100周年 特別ワークショップ】 ~テルミン家三世代と竹内正実先生をお迎えして~国立音楽大学作曲専修主催

昨日はお付きで掲題ワークショップに行ってきました。国立音楽大学作曲専修さんは常に意欲的な企画をしておられてすごいですねぇ。講師はナターリア・テルミン(テルミン博士ご息女)マリア・テルミン(同ご令孫)ピョートル・テルミン(同ご曾孫)竹内正実…

Dvořák Symphony No.7 Movt. 3

ドヴォルザークを調べていると、この人は本当にブラームスが好きだったんだろうなぁと思わせるところが多々ある。で、真似をするのだが、惜しい。 それはともかく、ドヴォルザーク自身の魅力的なパッセージには事欠かない。多少展開に無理はあっても… 7番交…

Rachmaninoff Piano Concerto No.2 Movt.1

冒頭に出てくるピアノの低音域でのアルペジオ。ちょっとしたことなのだが、ところどころに倚音をはさみ込むことで一筋縄ではいかない響きになっている。

75回目の8月15日。あの戦争を振り返る。

8月15日、敗戦から74年。敗戦記念日の思いも繰り返されるごとにパターン化し、記憶が風化していくことにあせりを感じます。 昨年は、双子座三重奏団とのジョイントで10月に「戦争と音楽」というテーマでライブを行いました。拙作のほか、戦争に関わる音楽を…

落語「寝床」によせて

落語の「寝床」はいろいろなヒントを含んだ噺である。江戸時代、あるいは明治・大正・昭和もはじめごろですかな、経済的余裕とヒマのある旦那衆、時によってはその辺の有象無象まで稽古事をやる。中には女のお師匠さん目当てで通ったりする。いわゆる「檀那…

Schumann Dichterliebe op.48 No.12

「詩人の恋」は一曲目の「五月」がすごくいいし、この12曲目も悪くない。要するにときどき挟まるめちゃめちゃ元気のいい曲がこちらとしては雰囲気ぶち壊しだと思うのだが、ドイツ人のやることだからしょうがない。 ディーター=デ=ラ=モッテが「大作曲家の…