25小節目からは全音音階全開である。
⑨の部分は、ブロックコードの半音平行移動の形。31小節目の後半は、バスのb a as g に従って、b e g という和音が半音ずつすべり降りてくる。
⑩のところ(36小節目)はアルペジオになっているが、冒頭の音型の再現である。Gb Fm Ebm7(Gb抜き)が連続して冒頭部分を回想させる。
⑪44小節目からはバスに全音音階の旋律が現れて上行し高揚する。49小節目に至って調号が全部はずれるが、同じ全音音階が続く。C# aug/Bの形になっている。
50小節目から、C#aug/B, B7(9), D7/A, G#7(-9)と属七和音系の和音を連ねて(バスは B A G# と順次下行)ついに、⑫57小節目において、劇的な4度下行(5度上行)により、E♭上の長三和音に達する。
そのあとは、属七和音のヴァリエーションに全音音階を加えた進行が続き、⑬66小節目に至って調号はシャープ三つになる。ここでのF#m - Dm という連結は独特の風合いをもっている。
⑭では、安定したAの長三和音の上に四六の和音の形で、C#m B A が平行移動するという形になっている。これも特徴的でかつ効果的である。全体としてはAのリディアンを感じさせる。
⑮に至るところはA Cm という連結でこれも耳をそばだたせる。
⑯はEbm/Ab というポップスではおなじみのドミナントの形に、同じく四六の和音が平行移動する(B♭m7, A♭, G♭)。
⑰はテーマの再現である。少々和声は変わっているが移動ドで ドソレ・レラミというテーマは同じである。
⑱の左手から右手に受け渡される音型は、なんとなく耳なじみのあるもので、⑥の音型とか、60-61小節目の音型とかを想起させる。
⑲の低音部はB♭♭とD♭の2オクターブ重ねであるが、旋律は変ニ長調であり、Aの上にDes durが乗っているような、複調的なイメージがある。
曲はG♭、E♭、を経由して、D♭・A♭の空虚5度の上に静かに終止する。