シェーンベルクの室内交響曲は前にも齧ったが、もう一度。練習番号77、viel langsamerになるところ。
この曲全体が、完全4度の積み重ね和音のスタディといった趣ですが、ここでは完全4度重ね和音を通常の3度重ね和音に接続するという例を見ることができます。音はこちら。
完全4度の積み重ね和音をしつこく提示したあと、譜例の8小節目でFに、14小節目ではGの長三和音に解決しています。
明らかに調性的扱いをしているこの部分の仕掛けは次のようだと考えます。
7小節目の4拍目は単純で、4度重ね和音の各声部を半音ないし一音動かすことでFのドミナントに持ち込んでいます。骨格としてはC7(Fの属和音)が聞こえます。8小節目ではFの長三和音の3度音Aに対し、上限から掛留音が解決します。(b → a , gis → a)
12-13小節目は明らかにC上の属七和音だと思いますが、ここへ到達するために直前にGの三和音を置き、9小節目の4拍目にはこれに対するD上の属7和音が用意されていると考えました。これも完全4度和音の各音を少しずつずらすことによって滑り込んでいます。(dis→ d f→ fis b→ a、g →fis cは動かない)そのあと、Bm7 Gm を経てG さらに、5度進行でC7 に達します。
この部分はトリッキーで、バスはCに留まって、その上でGaug F#7 と動きます。最後はGの長三和音に落ち着きますが、弱進行とみるか、F#7b5の偽終止とみるか。弱進行なんですしょうね、ここは。