バルトークの弦楽四重奏第1番を聞いていると、ドビュッシーやラヴェルのフランス音楽と直接つながっているような印象を受けるところがある。例えば45小節目からの次の部分。音はこちら。
45-46小節目はほとんどモーダルであり、さらに一つ一つの和音も極めてオーセンティックな長三和音であったり短三和音であったりして、耳に厳しいところがひとつもない。47小節目はそれまでGbであったものがGナチュラルになって、旋法が変わったことをしめすが、とてもドビュッシーっぽいと思う。48小節目の2拍目、3拍目も短三和音の平行移動が出てくる。これはポピュラーミュージックでもよく出てきますね。ただ、仔細に音を見ていくと48小節目3拍目の2つ目の16分音符のe fis a がちょっと気になる。第二バイオリンもそれほどいい旋律というわけではないので、ここはfisではなく、すぐ下のe か cの方がよかったのではないかと思う。(バルトークにだめだししてどうする)
49小節目もa と ais が共存してはいるが、モーダルであり耳に厳しいところはほぼない。50小節目は臨時記号が消えてしまい、プレーンなD エオリアン。最後の2拍はこれがあやしくなって、51小節目のbとcisの増二度を伴う奇妙な旋律に落ち着く。