TBSーTV火曜ドラマ「カルテット」の主題曲、椎名林檎さんの「おとなの掟」は歌詞といいメロディといい、名曲だと思います。Videoもよくできていますよね。
思わず、コピーしてしまいました。例によって4声体にして、コードネームを振ってあります。音はこちら。TVドラマの最後に演奏されるバージョン(ショートバージョン)です。(楽譜と音を差し替えました。2017年4月6日)
弦楽四重奏を加えたオーケストレーションですが、全体のトーンはタンゴっぽいですね。曲は嬰ハ短調ではじまり、最初の和音はIIのハーフディミニッシュ。秘密めかした感じが横溢します。6小節目に並行調の主和音が第二転回形で現れ(E/G#)、この部分は実に効果的ですね。盛り上がっていって、16小節目にC#があわられて同主長調に入りますが、すぐ次の小節はF#mとなってもとの短調にもどってしまいます。
ここでは型どおりの反復進行ですが、開放的で前半との強烈な対比をみせます。短い間奏が26小節目にあり、今度は変ホ短調(元の嬰ハ短調の長二度上の調)で9小節目からと同じ旋律を繰り返しますが、今度は伴奏の和音がかわり、最初の音Bbは前回は5度音として扱われていたのですが、今回は9度音として扱われて新鮮に響きます。
ここの歌詞は「人生は長い、世界は広い」で、音楽が雄弁にそれを支えます。
そして、松たか子さん「おとなはひみつをまもる」というささやきで曲を閉じます。見事な構成で、たった37小節の中に、一つの世界をまるまる包摂しているような、聞き応えのある曲となっています。