ドビュッシーはまさに感性のおもむくままに書いているようなところがあって、分析を受けつけないような曲が多いのですが、これは比較的理屈っぽく書かれているので和声アナリーゼをしてみます。
変ト長調ですが、最初からダブルフラットのBbbが入っていて、変ト短調といったほうがいいですね。ただ、変ト短調だと今度はFbがでてくるので、Fにナチュラルをつけなくてはならない。嬰へ短調で書いて、Eにシャープをつける手もあったでしょうが、ドビュッシーはこれを変ト長調の第3音が半音下がったととらえたということなのでしょう。コードを当てはめればGbm で7度音が長7度になっている和音で、この響きが全体を支配しています。
途中Gナチュラルが出てきて変イ短調へ、Dbを響かせて繰り返しに入りますが、ここのバスの丸をつけたGの音が曲者で、この瞬間だけ和音はG7になり一瞬ハ長調を通ってまた変ト短調にもどります。
その後いろいろあってAppassionatoで新しい旋律が入ってきますが、調性は変ホ長調ですが3小節目にCb7を響かせるという技を繰り出してきます。(赤枠で囲った小節)
その後同じ音形を繰り返してあがって行きますが、Eb7 Ebm7b5ときて、緑の枠で囲んだ小節が変わった響きです。私の耳では変二短調でミ・ラ・シ・ファと聞こえ、都節っぽいと思うのですが。
サンソン・フランソワの演奏を貼って置きます。