先日の続きでございます。
嵐を経てめでたくA Majorに着地したところで、第3のメロディーはやや変形されて登場します。前回登場時のように調性があいまいになることなく、今回ははっきりA Majorで出てきます。但し、添えられている和音は一筋縄ではいきません。音はこちら。
下に見取り図のような譜例を上げていますが、メロディーははっきりA Majorで始まるものの、赤い枠で囲った部分の和声は伝統的ではありません。Aのバスの上にE7が乗った和音くらいはかわいいものですが、D/Bb=A# とか F7#5/B とか独特の響きです。D/Bbの方は音の組み合わせとしてはBb7 aug5 ですから近代的には耳慣れた響きですが、AとA#は長7度ではなく、減8度として響きます。F7#5/Bの方も、A Majorという調性のなかでは新鮮に響きます。フラット系であれば、F7b5 b13という解釈もあるのでしょうが、それとは違う扱いです。
旋律は最後にG#の代わりにGナチュラルに達して、A Majorからはなれて行きます。
その後の右矢印をつけた下声の進行は単にC#の和音から6の和音で下がっていきます。
次の部分、下の譜例ですが、赤枠をつけたところC Eb Gb という和音になっています。なぜ前のC/Eから素直にB/D#=Ebにしなかったのか。次の小節で減七和音になってしまうので、少々このCの音はよくわかりません。
その後はティンパニの減5度の連打というあまり聞かない響きをもって最初のテーマをちょっと出して、断絶にいたり(G#上の減七和音)そのあとFの持続音をもってだんだん静かになっていきます。このあと、同じ第3のテーマがBb Majorでホルンでやわらかく出てきます。