Jun Yamamoto音楽を語る

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クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

Yumi Arai (Matsutoya) "Hikouki-gumo" ひこうき雲 Reharmonized

稲垣潤一さんがデュエット・カバーアルバム「男と女」で、小野リサさんとともに荒井(松任谷)由実さんの「ひこうき雲」にチャレンジしておられます。

ボサノバに仕立ててあって、極めて軽くなっていて大変面白いのですが、ほのぼのとreharmoniozationが施されているので取り上げてみます。

荒井由実オリジナルはEb で、稲垣=小野バージョン(以下IOバージョン)は最初はDbで始まっています(途中で転調してしまいますが)。ここではわかりやすさを最優先にしてCで書いてみました。

上段がオリジナルのコード進行(本当はバスが動くのでこの通りではありませんが)で、下段がIOバージョンのrehamonization後のものです。間違っていたらご指摘よろしくお願いします。

音はこちら。前半がオリジナルバージョン、後半がIOバージョンです。バスの動きは省略しました。

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この曲の肝は譜例の11小節目、サビの3小節目でGm すなわち主調のVm あるいは Vm-I7 という主調のIV度へのアプローチにあります。ユーミンオリジナル版ではこれをサビまで大事にとってあって、サビで初めてVm(Gm)が出てくるのですが、IOバージョンでは「おいしいものは何度でも」ということで2小節目にしてすでに出てきちゃいます。

1小節目のDm7 3小節目のEm7は主要コード間を音階的に埋めています。4小節目の最後のF7 は次のEm7へのアプローチ、5小節目の後半のG7/Fは見た目はおどろおどろしいですが、実は前のEm7のバスが半音あがっただけです。6小節目ののEm7b5は、同D minor へのアプローチ、7小節目はIV度の和音(F)をII度(Dm7)で置き換えています。

問題のサビの3小節目後半(譜例の11小節目後半)はIOバージョンでは常にII-Vを意識して(Gm7-C7)の形で出てきます。12小節目後半はIV(F)から同主短調の借用和音Fmを通過するクリシェです。最後16小節目の頭のBbMaj7は、属和音であるG7に行く前にbVII度を通過するという、これも常套手段であります。