Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

2016-01-01から1年間の記事一覧

Shostakovich Symphony No. 5 Movt. 4

ショスタコーヴィチの音楽を最初に聞いたのがこの5番交響曲。それはそれはショックだったですねぇ。プロコフィエフとはまた違う新鮮な調性感があり、強烈なドライブ感がある。 ショスタコーヴィチの楽譜は著作権が切れていないのでimslpでは手に入らないので…

Chopin Etude No. 3 op.10-3

みんな大好きショパンの「別れの曲」である。「別れの曲」という愛称はショパンに関するドイツ映画"Abschiedswalzer"(直訳すれば「別れのワルツ」)の邦題からきているのだそうで、そもそもこの曲は4分の2拍子だしちょっと的外れではあるが、まあ細かいこと…

Mandelbrot Quartet (1996)

1996年に発表したマンデルブロ四重奏曲を、そろそろほとぼりも冷めたと思うので再掲します。今聴きなおしても、割といいんじゃないかと思っています。 楽譜はこちらにあります。 【 演奏時間 】2分48秒 FMIDICLA MES 5 #407 に、マンデルブロ集合で音楽が…

The National Anthem of Japan arranged

日本国歌「君が代」をリハモしてみました。こういう単純なものをアレンジするってのは面白い。音はこちら。

National Anthem of Japan "Kimi-ga-Yo"

ご存知、君が代である。国歌論を語るつもりはない。この曲の編曲、なかんずく和声付けについて調べてみたいのである。 エッケルトがこの曲の編曲をするときに、彼の技術であるクラシックの和声法で上手くいかない、レで始まりレで終わるという最初と最後を単…

Could LvB's Piano Concerto's first theme be MAJOR with a different accompaniment?

小学校の時の同窓会があった。そこで出た素朴な疑問。 「学校で、長調と短調というのを習ったが、いまだになにが長調で何が短調かわからない。長調が明るい感じで、短調がかなしいかんじだとか教わったけど、要するに悲しい感じがすれば短調なのか?ドレミフ…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (8)

いよいよ大詰めです。第二主題を畳み掛けるように積み重ねていって、大きな主調のV→Iの大解決を行って、全曲の終止としています(4小節目から5小節目)。終止後、バスには隠れたC#(主音)が鳴っており、その上で絢爛たる転調が展開されます。 しかし、調性…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (7)

続きです。ほとんど永遠に続きます。こういう曲を24の調性でプレリュードつきで書いて、しかも二回やってるというのが驚きです。最初の6の調性くらいでネタがつきそうですが。 バスは第二主題のつづきですね、ソプラノには第一主題がII度調で現れます。D# m…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (6)

続きです。 アルトが刺繍音形を続ける中(少しずつ変形はありますが)二小節目から第二主題がC# minorでソプラノに、4小節目から同じくF# minor (下属調)でテナーに現れます。 2小節目の二拍目、ソプラノのC#を三度に扱って和音はA、C# minorのIV度の和音…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (5)

(4)の続きです。 ここでいよいよ二つの主題(主唱)が同時に出てまいります。最初の小節にバスでF# minor(主調の下属調)で第一の主題が、2小節目にそれにかぶせるようにしてソプラノに第二の主題が同じ下属調ででてきます。その間を刺繍音形がつづっていき…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (4)

続きです。 ここから装飾的で特徴的な音形がソプラノに登場する。「ミレミファミレドミ」(長調であれば「ソファソラソファミソ」)である。この音形は、最初の4つはミを中心に刺繍音となっており、後半の四つはミとドが本体であることを示唆している。この…

【番外編】バナナ村に雨がふる(乾 裕樹・曲)

お友達に教えてもらった面白い曲。確かにどこまで行ってしまうかわからない転調がありますが、譜面に起こしてみると、さすが乾先生、きっちり書かれていますね。 主部はバスにCを取って、Gが主音のような不思議な旋律です。仮にC Lydianとしておきました。そ…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (3)

続きです。 1小節目、ソプラノとテナーが同じような動きをしているために妙な感じになっています。最初のソプラノのG#は嘘掛留ですから次のF#は刺繍音ですが、しかし、二拍目表ではバスがAなのでソプラノのG#は落ち着きどころがなく、結局経過音として扱うし…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga (2)

ソプラノの主唱が終わり、4小節目の後半から答唱がテナーに出てきます。最初の小節、メゾソプラノのC#は掛留ですが、一拍目おもてで本来のBだったとしたらここは四六の和音になってしまいます。C#が掛留している間に一拍目の裏でアルトにアインザッツがあり…

Bach Well-Tempered Klavier I No.4 C# minor Fuga

平均律第一集の嬰ハ短調の5声のフーガのお勉強です。Richterの模範演奏はこちら。3:13くらいからフーガです。 テーマはまずバスに出てくる4つの音。C# B# E D であります。主調のC# minorです。すぐ続いて答唱が始まりますテナーで G# F## B A# これは属調…

Major and Minor

小学校の同窓会に出たときに、女に不自由したことがなさそうなH君の言葉に考えさせられてしまった。いわく: 「学校で、長調と短調というのを習ったが、いまだになにが長調で何が短調かわからない。長調が明るい感じで、短調がかなしいかんじだとか教わった…

Beethoven Piano Sonata No.8 "Pathetique" Movt.1

超有名なベートーベンのピアノソナタ第8番「悲愴」作品13の第一楽章であります。子どものころに初めてマトモな曲を弾かせてもらった、その最初がこれだったように思います。ハイドンやモーツァルトのピアノソナタにはないダイナミズムがあって、難しいのも…

Beethoven Symphony No. 5 Movt. 4

ストレートなドイツ風「うれしい!」を表現した第4楽章ですが、主題の提示を終わって、繰り返し記号を超えて展開部に入るとハ長調の属七和音(G7)にいきなりつなげて、並行短調、イ短調の属七和音(E7)がドシャ―っとなって、さあ、どうするだろうと見てい…

Ravel String Quartet Movt.4 (3)

ラヴェルの弦楽四重奏曲第4楽章の続きであります。音はこちら。例によって模式的に大譜表にまとめてみました。 1段目は前の部分から、高揚が静まってくるところですが、Aの音をペダルにして、チェロと第二バイオリンが長六度で半音進行をしていて、A#の音がA…

Dvorak Piano Quintet No. 2 Movt.1

ドボルザークのピアノ5重奏曲第二番。愛すべき曲であります。ドボルザーク独特の転調を第一楽章冒頭部分で見ていきます。 チェロが優しい旋律をA Majorで朗々と歌いますが、11小節目の最後の8分音符がG#ではなくGナチュラルになって、A minor になります。(…

Beethoven String Quartet No. 5 Movt.2

ベートーベンの第5弦楽四重奏曲の第二楽章はメヌエット。ベートーベンは第二楽章にスケルツォを持ってくることも多いが、ここでは典雅なメヌエットを披露している。これはなんということもないのだが、いい曲だなぁ。 まず主部。 赤枠で囲ったEの和音、ここ…

Haydn Symphony No. 104 Movt. 4

交響曲の父、ハイドンの最後の交響曲の終楽章である。スケールを繰り返してひと騒ぎしたあと、すっと静かになるところで心憎い転調をしてみせる。 84小節目でA Major からすっと引いてB minorになる呼吸が美しい。図式的に大譜表に書いてみる。 がちゃがちゃ…

【閑話休題】4和音は10種類。(ごめん、まだあった)12種くらい。

同じ根音(ルート)を持つ、長三度と短三度の組み合わせによる和音は4和音は8つ、厳密には7つしかない。このほかにも長二度を含む4和音が2つあり(C7b5とCaug7)これについては後述する。 長三度は半音4つ分、短三度は半音3つ分であるから、音の間隔が…

Rimsky-Korsakov Suite "Scheherazade" Movt. 1

幼い頃に聞いて、クラシック音楽に興味を持つ原因となった曲の一つであります。曲はアイデア一発みたいなところがあるのですが、オーケストレーションの妙が人をそらさない魅力があります。 第一楽章は王の主題をあらあらしく提示してから木管のコラールが短…

Schubert String Quartet No. 15 Movt.2

わが師匠イチオシのシューベルトの最後の弦楽四重奏曲である。名曲であるのは言うを俟たないが、第二楽章に妙なところがある。 上の譜面の二段目3小節目の終わりにVln1とVaで(G Bb) という音型が出てくる。ここではこの小節自体、Gmであるのでまったく普…

Tchaikovsky Piano Trio Var. 8 Fuga

この曲は、あれだけ仲が悪かったルービンシュテインが死んで、さぞよろこんだかとおもいきや、チャイコフスキーが彼に捧げたピアノ三重奏曲である。 二部構成で、第二部は変奏曲である。チャイコフスキーの変奏の妙に操られてついつい聞き逃してしまうが、第…

Ravel Pavane pour unu Infante Défunte

ラヴェルのおそらくもっとも人口に膾炙している曲の一つ、なき王女のためのパヴァーヌでありますが、どうもピアノ版とオーケストラ版の違いが気になる。具体的にはハープのグリッサンドの扱いであります。 ピアノ版の最初のアルペジオは次のようになっていま…

Debussy Arabesque No. 1

ネタの使いまわし第二弾。 ドビュッシーのアラベスク第1番の気になるところ。 この70小節目、これがなんともこの気になる。 一番上がオリジナルの場合だが、まず1にかけて平行8度がある。それはいいとして、3の和音、ソプラノとバスがオクターブで しかも第…

Mozart Symphony No. 40 Movt. 4

これは前にも取り上げたネタなのですが。 モーツァルトの第40番ト短調交響曲の終楽章。展開部に入るところがほぼ12音音楽のようになっている件。 下の譜面の最初の段で、ダブって出てくるのは赤丸で囲ったBbとC,Dの経過音だけ。あとはGを除く11音が出てきま…

Bach Klavier Partita No.6 Gigue

バッハも調子よく聞いていると、時々「えーっ」というところが出てくる。鍵盤パルティータ第6番のGigueであるが、そもそも主題(S)がすごい。いきなり減七度の跳躍が2回出てくる。1のところはe a と五度の跳躍になっている。後でどうするんだろうと心配に…