Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

J. S. Bach The Music Offering Canon 5 a 2

音楽の捧げもの」から5度のカノン。上声はフリードリッヒ大王のテーマの変形で、その下にニ声の5度のカノンが形成される。バッハが書いたのは下の譜面だけで、一種の謎かけになっている。

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下の段に二つの音部記号が書かれており、最初のヘ音記号はあそのまま上声と同時に演奏し、1小節遅れて、ハ音記号(テノール記号)にしたがって演奏すると、見事にカノンになるという趣向である。テノール記号の方は最初はト短調になり、臨時記号を読み替えないといけない部分はあるが、厳密なカノンになっている。これを書き下すと次のようになる。上声の赤丸で囲んだのが大王のテーマに使われている音である。(音はこちら

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赤で線を引いたところが、ヘ音記号による先行声部であり、青の部分があとから入ってくる5度上の声部である。たった8小節だが、これは並大抵の仕事ではない。この中に6箇所も掛留を含み(7度音を加えれば7箇所)、とにかく音楽的に美しい。

さらに、このカノンは一回り演奏すると、全音高いニ短調の属和音で終止し、そのまま続けて、全音高いニ短調で続けることができる。お察しの通り、それを繰り返せば、6回で一オクターブ上になり、さらに永遠に上昇していくことができる。バッハはフリードリッヒ大王の栄光がいやます高みに上るようにとお世辞を添えることを忘れなかった。