Mahler Symphony No. 5 Finaleから、いかにもマーラーらしいフレーズを見てみます。中心的なアイデアは7度下がる、あるいは2度上がるというモチーフですが、和声法的対位法的にマーラー独特の処理がされています。譜例の2小節目から3小節目は7th和音の半音下降。4小節目からは長いBbのペダルが聞かれます。
5小節目のペダル直上のG-Gb(F#)-Gの響きがマーラーらしく、これはメロディーのGとの半音でのぶつかりあいが効いています。
9小節目も面白いところで、二つの倚音が逆方向に動いて和音の性格をあいまいにしていますEb/Gと書きましたが、Gm7-Cm7という感じかもしれません。
10小節目の2-4拍の音の交換もテナーに8分音符を配することで、少し変わった味わいになっています。
なんと言ってもなぞなのが、13小節目で、これ、どう解釈したらいいんでしょうか。和音がばらばらになりかけながら、各声部の勢いで独特のまとまりを見せています。16小節目の頭の和音もいかにもマーラーの響きですね。19から21小節目への転回は一見よくあるサブドミナントb5から四六の和音という流れなのですが、cの音が引っ張られていて、一ひねりされているのが見て取れると思います。