ブラームスの第3交響曲冒頭。このたった14小節にいろいろなアイデアが詰め込まれている。基本的なアイデアは3小節目から4小節目への長調から短調への転換であるが、わざわざバスで3度音をとってメロディーとの間で対斜を作って緊張感を増している。赤丸をつけたのが減七和音だが、減七祭りの様相を呈している。最初の減七はテーマ冒頭へのバネのような役割を果たしていて、もちろんドミナントではなく、IV7b9の根音省略とでも解釈すればいいのか。あとの減七は経過和音的に扱われている。テーマは同主短調を内包している。リズム的にも基本的に2分の3であるが、わざわざ小節頭で和音を変えずに配置を換えたり(☆印の部分)、10小節目では2拍ごとに和音を変えてリズムを出したり、最後は大きく2拍子を取りながら、バスを4分音符分遅らせて変化を出したりしている。