Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

Mariya Takeuchi "Shuugakushou" 竹内まりや ”終楽章”

「けんかをやめて」といい「終楽章」といい、竹内まりやさんの描く女はもうとんでもない奴ばっかりだ。「誰が悪いわけじゃなくて」って悪いのはおまえだろ。あやまれ(笑)

 

「終楽章」は9thのかたまり。どんだけ9th好きなんだよっていう。9thにすべて赤丸をつけてみました。こうやって和声のrealizationをしてみると、竹内まりやさんの曲がいかにバークレーメソッドに忠実に作られているかがよくわかります。音はこちら

 

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Diana Krall "California Dreamin'" from "Wallflower"

Diana KrallのWallflower は大変なアルバムである。古今の名曲のカバーアルバムで、Krallが歌っているというだけでなく、プロデュースが David Fosterなんである。あー。

で、California Dreamin' はJohn Phillips and Michelle Phillipsの曲で、The Mamas & The Papas の1965年のカバーでヒット(by Wikipedia)。歌詞とかよくわからないけど、とにかくかりふぉーにあである。

All the leaves are brown (all the leaves are brown)
And the sky is grey (and the sky is grey)
I've been for a walk (I've been for a walk)
On a winter's day (on a winter's day)
I'd be safe and warm (I'd be safe and warm)
If I was in L.A. (if I was in L.A.)

California dreamin' (California dreamin')
On such a winter's day

Stopped into a church
I passed along the way
Well, I got down on my knees (got down on my knees)
And I pretend to pray (I pretend to pray)
You know the preacher like the cold (preacher like the cold)
He knows I'm gonna stay (knows I'm gonna stay)

California dreamin' (California dreamin')
On such a winter's day

All the leaves are brown (all the leaves are brown)
And the sky is grey (and the sky is grey)
I've been for a walk (I've been for a walk)
On a winter's day (on a winter's day)
If I didn't tell her (if I didn't tell her)
I could leave today (I could leave today)

California dreamin' (California dreamin')
On such a winter's day (California dreamin')
On such a winter's day (California dreamin')
On such a winter's day

さて、なにがいいたいかというと、このKrallのカバーがかっこいいということ。特に、この一音(というか二音)にやられます。

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コードがGになるところのC#とEの二重倚音。G の11th 13thととってもいいですが、何しろこれがカッコいい。ピアノでこれだけ弾いてもなんのこっちゃですが、全体のサウンドのなかでこの倚音が効くのです。

 

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Beethoven String Quartet No. 10 Movt.3

ベートーベンの10番の弦楽四重奏曲の第3楽章は、お得意の1小節一拍で振らないと振りきれないスケルツォである(速度表示はPrestoになっている。)

最初から飛ばしていく、急速な音楽であるが、途中でpiu presto quasi prestissimoになる。

そこまでも相当過激な音楽なのだが、この部分で、ベートーベンは完全に突き抜けてしまい、別世界に突入する。譜例に示したように、ところどころ申し訳程度にr (retard=掛留音)があったりするが、まず掟破りの音楽である。

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チェロの4分音符の流れの上にビオラがテーマらしきものをのせていくが、ほぼ音楽的とは言い難い旋律である。譜例の20小節目では第二バイオリンのCは掛留だが、二オクターブ上で第一バイオリンが構うことなくCーBとまたがって降りてきてしまうわ、29-30小節ではバイオリン二本で平行8度になってるわ、もうえらいことになっている。

しかし、この部分こそが、音楽を向こう側へ超越してしまうベートーベンの真骨頂であるのですね。

 

(21'40”くらいから当該部分)

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Toru Takemitsu Viola Concerto-A String Around Autumn

注文しておいた武満徹ヴィオラコンチェルト」の楽譜が届いた。
気になっていたところをチェックしたが、三善晃さんやうちの師匠のスコアなどとくらべるとはるかにわかりやすい。
(1)15分もかかる大曲なのに、アレグロがない(そういう概念がない)
(2)対位法的なパッセージがない。糸がもつれるようなのはあるが、対位法的とは言いがたい。一瞬で終わるし。
(3)オーケストレーションは職人技。
(4)和声の構成は、3度の積み重ねか、4(5)度の積み重ねか、せいぜい二つの三和音をアマルガムしたもので構成されており、解釈可能。
この辺が武満さんの特徴かな。聞いていてここちよいのはこの辺に理由があるように思います。逆にそれが限界にもなっている。

最初の方だけ少々メモしてみたのでご紹介します。

まず、出だしの部分。

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最初はホルン4本のソリである。

2小節目のバスに出てくるBナチュラルはやや特殊だけれど、後は上の段にしめしたように、ほぼ三度堆積和声の範囲内で解釈可能である。響きはもちろん美しい。これらのコードはジャズ畑の人にはまったく普通のものだし、ドビュッシーラヴェルにも出てくる。連続のさせ方が現代的ではあるが、響きそのものはむしろオーセンティックだ。

音はこちら

続いて、少し先、6小節目。

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ここは、弦が4度堆積の和音を鳴らしているが、上段に示したように、二つの三和音の組み合わせと解釈することもできる。6小節目の最後にでてくるFとAbは弦の和音に含まれている音ではあるが、#系からb系にかわることで新鮮に響く。7小節めの和音もF#m とG#mの組み合わせと解釈することもできる。いずれも6度の和音の形になっており、響きは安定している。音はこちら

続いて練習番号Iから4小節目。

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同様に和音は三度堆積であり、十二音音楽的な厳しい音程の積み重なりがなく、響きは駘蕩としている。音はこちら

 

 

Hiroko Taniyama "Asobi-ni-Ikouyo"

昨晩は谷山浩子さんの猫森集会season 15 at Space Zero に行ってきました。Cプログラムのオールリクエストです。

谷山さん自身は14の時から音楽活動をされているので、芸歴46年、曲の数もレギュラーアルバムだけで30枚以上、他のアーティストにも曲を何十曲と提供しておられますし、とにかく膨大な曲数のなかから「どれでも演奏します」というのだからすごい。伴奏に永年のパートナー石井AQさんと斉藤ネコさんを従えて、途中ちょっとハプニングはあったものの、全曲歌いきったのはすごかった。毎度のことなんですけどね。

また、ファンの方も、初期の曲、マイナーな曲、通好みの曲をリクエストしますから、一層選曲はマニアックに。

しかし、猫森集会も十回以上お邪魔してますが、昨夕はすごかったです。三人の天才の競演で、歌詞の意味も超えて、超絶ハイパーな音楽の奔流という感じで圧倒されました。いやー、プロはすごい。斉藤ネコさんもベテランなので、全然知らない曲でも、譜面がなくても、最初のコーラスでコードをメモして、後半がっちりバイオリンを弾きこむというわざを展開。アンコールに応えた「遠い夏~津軽に寄せて」でも強力なソロを弾きこなしておられました。楽譜なしで。

リクエストの中で、比較的新しい曲「あそびにいこうよ」がありましたが、これのメロディーラインが面白いのでちょっとご紹介。

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G Majorの曲ですが、Aメロの途中でちょっと下属調のC Majorに立ち寄るのですが、F#がちょこっとFナチュラルになるだけで、非常に効果的です。appは倚音、bは刺繍音、eは逸音、pは経過音です。

 

自作の生まれて初めての公開演奏にあたりびびりまくっている件

「中国・四国の作曲家2016 in 徳島」10月29日 にて、自作のトランペット独奏曲が初演されます。生まれて初めての経験なのでびびっています。チケットあります。

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