Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

Schoenberg String Quartet No. 4 Movt. 3

シェーンベルクの第4弦楽四重奏の第3楽章の一部の和音構成をschematicに表現してみたものである(音はこちら)。原曲では第一バイオリンが主に旋律を担い、下3パートが8分の6の3拍目、6拍目に和音を打っている。
12音技法で書かれており、セリーの扱いがどうなっているかということについてはすでに多く語られているが、私の興味はそこにはなく、「結果として」どのような和音が鳴っているかを見てみたい。
ざっと見渡してみると結構保続音があって、和音と和音をスムーズにつないでいることがわかる。個々の和音を見ていくとその後の近現代音楽がいかに多くをシェーンベルクに負っているかがわかる(個人の見解です)

f:id:jun_yamamoto:20181012183008p:plain

714小節目の最初は極めて耳慣れた和音である。コードネームで書けばA13 omit rootということになろうか。根音がAだとすると下からcis=3rd fis=13th g=7th h=9th となる。
715小節目の最初の和音はCaug7の第3転回形と解釈できる。実際にはかなり偏った配置になっている。
716小節目の最初の和音はBbmaj7っぽいのだが、3度音を欠き、かつ5度音がナチュラルとaugmentが共存している。次の和音は基本的にはEbmaj7の第一転回に聞こえる。それに#9thとナチュラルの7th(cis=des)が共存している。7thははるか上方にあるので、和音とは離れて聞こえ、基本はmaj7のように聞こえる。
717小節目の冒頭は下3声が保続されていてEbmaj7、それに高いところでナチュラルとaugmentの5thが同時に鳴っている。次の和音はバスを除けばBb7の響きを持っている。3rdの代わりにe(4thあるいは11th)c(9th)が添えられている。これが、不協和なmaj7にあたるAの上に載っているという感じである。

f:id:jun_yamamoto:20181012183147p:plain

718小節目、下2声が保続されて、和音としてはDのハーフディミニッシュがナチュラル5度のAに載っている。次の和音はストレートにGmaj7ではるか上で#5thが鳴っている。

719小節目、後半の和音は引き続きGmaj7で、11thのc と半音高いcisが同時に増8度で鳴っている。

720小節目はFの長三和音が真ん中にあるが、Bbから見ればBbmaj7 9th 11thである。それが、gisの上に載った形になっている。

721小節目の後半はb-h-cの半音のクラスターを展開したような形になっており、Gが添えられている。これは3度構成の和音と解釈するのは無理があるだろう。

f:id:jun_yamamoto:20181012183234p:plain

722小節目はG上の長三和音がバスのcisの上にのった形。

723小節目の最初の和音はBb上の三和音とfis-cisの完全4度の組み合わせのように感じられる。次の和音はFmaj7aug5 #9th と解釈できよう。

724小節目の最初の和音はEbmaj7 #9th。次はAmとFmの組み合わせのように聞こえる。最後の和音はEbmaj7aug5#9th がcis に乗っているような形である。

723小節目からフレーズの終わりにかけて、和声的にも緊張感を増していっている様子が見て取れる。

こうしてみてみると、かなりの部分が旧来の3度重ね和音を多少ずらしたり、付加的な音を加えたり、遠い調に属するバスをもってきたりという形になっており、そうでない和音はまれである。この短い部分だけでも、日ごろお世話になっている響きがたくさんある(個人の感想です)

シェーンベルク最後の弦楽四重奏曲であり、やや「わかりやすさ」に傾いているかもしれない。ベルクになるとはるかに耳慣れた和音が頻出するのだが…