Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Mozart Piano Concerto No.23 K 488 Movt. 2

モーツァルトの23番のピアノコンチェルト。イ長調。もともとモーツァルトのピアノ協奏曲は名曲ぞろいなのだが、わけても終わりのほうの数曲はすごいですよね。ピアノも美しいが、オーケストラも精妙で、とりわけ木管楽器の扱いは素晴らしい。

この曲の第二楽章は主調イ長調の並行調である嬰へ短調で書かれた、8分の6拍子のまことに愛らしい小品である。最初の部分だけ、スケルトンを示す。一番上の段にポップス風のコードネーム、中段にコードの機能を示すためにスケール上の何番目の音の上の和音かを示し、さらに倚音には a 掛留音には r 経過音には p 刺繍音には bと注記した。音はこちら

ピアノ独奏でシチリアーノ風の美しい旋律が奏でられる。三声体だがまったく必要十分な和声である。5小節目の冒頭右手のDはかなり大胆だ。7小節目の前半はIV7の和音で、一瞬 E durを示す。次の8小節目の右手のais は経過音とみるのが正しいかもしれない。そうであればここの和音はF#ではなくF#mである。9小節目はGの和音で、これは主調のナポリの6度の和音である。12小節頭で主和音に終止したあと、絃楽器のアルペジオに乗って、クラリネットから新しい旋律が出て、4回の「入り」がある。それぞれに番号を付して緑の枠で囲んだ。それぞれの「入り」は、a h cis d と一音ずつ上がっていき、2回目以降必ず2小節め頭で掛留を持つ。

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14小節目の冒頭はバスが a に解決しており、上にC#7が掛留和音としてのっていると解釈すべきだろう。17小節目の前半はG#7で、属調のCis dur を感じさせる。18小節目はF#7b9の和音であり、一瞬 h mollを感じさせるが、すぐにバスが半音上がって再びGとなってこれはナポリの6度である。

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この旋律は、松本隆さんによって詞がつけられ、薬師丸ひろ子さんのアルバム「花図鑑」に「花のささやき」として収められている。旋律はほぼ忠実になぞられ、4回繰り返される木管楽器の入りについては、1番目と3番目を主旋律としている。編曲は武部聡志さんが担当し、大向こうをうならせるようなしゃれたものになっているので一度お聞きいただきたい。