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Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Mozart String Quartet No.19 K465 "Disonance" Introduction Analysis

モーツァルトのこの弦楽四重奏曲は「不協和音」として知られるが、ちょっとした和声の試みを序奏において行っているに過ぎない。主部がはじまれば、いつもの明るく楽しい(そしてひょっとしたら悲しみを内に秘めた??)モーツァルトの音楽である。

 

では、問題の序奏を見てみよう。音はこちら

皆さんが問題にしているのは一小節目のヴィオラのAbと2小節目の第一ヴァイオリンのナチュラルのA が対斜をなすということである。

しかし、第2小節の2拍目はおなじみのAm7b5、すなわちAのハーフディミニッシュであり、次の拍ではお約束どおりD7が来て、G minor の II-Vの動きに過ぎない。次の小節の頭も定式どおりGの和音であるが、第一ヴァイオリンがAを掛留としていることと、第二ヴァイオリンが倚音としてC#を鳴らしているため、ちょっと不思議な感じがするだけで二拍目ではきちんとGの和音に解決している。

4小節目の3拍目は急な転調を持ち込んでいる。ハッピーなト長調から変ト長調からヘ短調へとかなり遠くへいってしまう。この4小節目3拍目の下からそろっと入ってくる感じはなかなかぞくぞくする。

一旦ヘ長調を経て、おなじ仕掛けで今度は10小節目で変ホ長調へ移行する。このあたりはそれほどの冒険もなく声部の交錯があったりするが、それほど目新しいことはない。

13小節目のチェロと第二ヴァイオリンの3度の半音階上昇をもって、音楽はめでたく基調のハ長調に到達する。長い道のりではあったが、シャープ系に冒険に出ることもなく、モーツァルトはいろいろな工夫をしながらも比較的穏健にまとめている。

 

14小節目からは大きくいってハ長調といっていいと思うが、部分的に平行調から減七の和音を借用して変化をつけている。

序奏の最後の部分だが、基本的に長いGの三和音なのだが、二重倚音を配することで確かに「不協和音」になっている。19小節目の二拍目裏、同じく20小節目、21小節目二拍目裏、いずれもあまりよい響きではない。