ベートーベンの第3交響曲といえば大名作であるが、とりあえず第一楽章の第一主題をとっても、お世辞にも独創的とはいえない。(移動ドで)ドーミドーソドミソドーですよ。これくらい想像力に乏しいテーマもちょっと思いつかない。しかし、ここから大ベートーベンはあの壮大な音楽を構築していくのであります。譜例に沿ってみてまいりましょう。
スコア全部だと大げさになるので、絃楽器の部分だけとりだしました。
最初の部分問題のテーマはEb G Eb Bb Eb G Bb Eb D と始まりますが、その次ですよ問題は。C#に行くのです。しかもこのC#は例えばEb7で出てくるDbではないのです。Eb7なら普通にAb(Ebの下属調)にすすみそうなものでありますが、先生ここはわざわざC#で書いておりしかもそれは「上行」して解決するのです。
これはおそらくIII度調のG minor のドッペルドミナントのA7b9の根音省略じゃないんでしょうか。なぜなら次にこの和音はG minor のドミナントであるGm/Dに解決するからです。
その後は何事もなかったようにBb7/Dに入って、Ebにもどっていきます。このC#は実に効果的かつ劇的で、この後のこの曲の壮大さを予感させるといえましょう。
後の部分はコードネームを見ていただけば巨匠のたくらみはほぼわかると思いますので説明は割愛(カッツアイ(c)LIFE)させていただきます。(手抜き)