Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

Fugue on the fragment by W. A. Mozart for his unfinished Requiem

モーツァルトがそのレクイエムのラクリモサの後に入れるつもりだったといわれるアーメンフーガのスケッチ最初の14小節に続けてフーガを書きました。すでに先人たちがそれぞれに工夫をこらした補作を行っていますが、新コロ騒ぎでヒマになってしまったので、つい手をだしてしまいました。お時間あれば聞いてやってください。

 

(追記)FaceBookのMusic Theoryグループでの助言に従って、36小節目を修正しました。

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Mozart Requiem To be written Amen Fugue, completed by 5 Successors

モーツァルトがおそらくは計画していた、レクイエムのラクリモサにつづくアーメンコーラス。残されたスケッチ14小節から、5人の補作を集めている動画があったので聞いてみた。

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いずれ劣らぬ力作だとは思うが、個人的にはDruce版の終わり方がかっこいいと思う。

 

1. Duncan Druce 1981

2. Robert Levin 1987

3. Richard Maunder 1993

4. Panczel Tamas 2006

5. Benjamin-Gunner Cohrs 2013

 

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Chausson "Poem"

ショーソンの「詩曲」冒頭。

全体がショーソンの発明といってもいいと思うが、基本的にはEb minorの上に、Ebm → Cb7 とか D7 → B7 とかの属七和音で三度平行移動するというアイデアが頻出している。属七の5度下方変位(7b5) や 短七和音の5度下方変位(m7b5)も使われているが、各声部がなめらかに動くことで魅力的な和声的背景を作り出している。

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故・北村昌士さんのこと

中森明夫「青い秋」を読みつつ、故・北村昌士さんのことを思い出していた。彼との接点はおそらく1977年に、ほんの短期間、Thioniteというプログレッシブ・ロックバンドに参加していたというだけなのだが。

Thioniteは一度だけライブハウスで演奏したことがある。対バンはGrand Guignol(グラン・ギニョール)というグラム系のバンドだったと記憶している。Thioniteの方は私がMCをしたのだが、北村氏にあとでえらく叱られた覚えがある。「お前にはこれしかないというものがない(しゃべりに覚悟が感じられない)学芸会か」というような趣旨だったと思う。「グラン・ギニョールを見てみろ。これしかないという覚悟が感じられるだろう」というのだ。確かにこちらは苦労のないお坊ちゃまで、大学生活の傍ら楽しみで音楽をやっていたので、そう言われても仕方がないと思う。

そういう北村さんにしてもギターでC Am F G とかだらだら弾きながら意味があるのかないのかわからない英語(なのか?)の歌を歌うのだが、お世辞にもうまいとは言えなかった。彼に言わせれば上手い下手じゃない、覚悟の問題だというだろうが。ほどなくThioniteは雲散霧消した。

このライブがあった時期は、北村さんがFool's Mateの編集を始めたころと重なっているのではないかと思う。「音楽を雑誌で伝えるのは難しいですね」という趣旨のことを言ったら「これを見て、ちょっと聞いてみようかという人がいたらいいんだけど」とはにかんだように気弱な返事が返ってきたのが妙に印象に残っている。

2006年に急逝されたということを知った。もともと見るからに虚弱な感じだったので、その上にいろいろ無理が重なったのではないか、とこれは部外者の勝手な推測である。

曲がりなりにも、プログレッシブロックのはじっこをかじらせてもらったのは彼のおかげだと思っている。

因みにThioniteというのはレンズマンシリーズに登場する麻薬「シオナイト」をそれっぽくつづったもので、本来の綴りとあっているかどうかすら調べたことがない。

改めて調べたらあってた(笑)。当時調べた覚えがないので、まぐれ当たりか。

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Gray_Lensman

Faure Requiem "Offertoire"

フォーレの愛すべきレクイエムから奉献唱の一部を。

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フォーレの和声マジック。要は偶成和音なのですが、D A7と来て次がF7になるという不思議な進行であります。本来の調性のD Major であれば C# E F# であるはずの音が、ひっくり返ってC Eb F になってしまい、しかもAはそのままなので連続性が保たれる。一瞬長三度下のBb Majorに行っていると解釈できるでしょうか。F7 はさらにひろがってGを響かせる。またA7を通ってまるで何もなかったかのようにDに収束する。

少し先の部分でもちょっとした経過句にマジックが。

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Dから始まって最後はAに落ち着くのですが、途中でE7が出て、しかもそれが普通ならドッペルドミナントになるところが3度上の長三和音、すなわちF#に行ってさらにB minorにはいるあたり。まったく無理なく順次進行でさらっと転調するのがフォーレフォーレらしいところです。