Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

クラシックの文脈における裏コード(sub-chords)

ポピュラー音楽でいう「裏コード」sub-chord というのはトライトーン(増4度=減5度)離れたドミナント7thコードのことであり、II-V進行において、Vを裏コードで置き換えることができる。たとえば、

Em7 A7 Dm7  G7 C というコード進行の場合、A7とG7を裏コードに入れ替えれば、

Em7 Eb7 Dm7 Db7 C となり、バスは半音ずつ下がってくるラインを形成する。

 

クラシックでも「裏コード」sub-chordは多用されるが、そのよって来る所以はサブドミナントにドッペルドミナント属調の属7和音)をもってきてかつ第二転回形を使い、バスに5度音をもってきて、さらにそれを半音下げた、というあたりから来ているのではないか。(下の譜面の音はこちら

 

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④はドッペルドミナントの第二転回形。⑤ではさらに5度音(バス)を半音下げている。表記上D7(b5)/Abだが、これはAb7(b5)と構成音が同一である。⑤と⑥はコードネームが違うだけで同じもの。

 

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 さらに⑦は、5度音を半音上げて普通の属七にしたもので、これも使えるだろう。

⑧はドッペルドミナントをにb9度を加えて根音を省略した形で、減七和音になる。

⑨では同じ和音をF上の属九和音と解釈して、Bbの三和音に解決した形。(ついでにEbまで行ってしまった)これは減七による短三度ずらしであり「裏コード」とは関係ない…がジャズでも使う。

⑩は同じ場所に先ほどと同様Ab7 「裏コード」を配して同じ進行をさせたものである。ここではBbmに行っている。これをVIと解釈してDbに終結する。