Jun Yamamoto音楽を語る

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい https://jun-yamamoto.wixsite.com/jun-yamamoto

Ravel Sonatine Movt. 2 (2)

以前この楽章の冒頭部分のなんちゃって分析をしたことがある。

Ravel Sonatine movt. 2 - Jun Yamamoto 音楽を語る

今回は終わりの部分である。

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Un peu plus lent qu'au débutのところから。

この4小節はcis のペダルの上で鳴っているのだが、小節ごとに細かくモード(旋法)が変っていくところがミソである。小さくて見えないかもしれないが、C#エオリアン、C#のメロディックマイナー上行、C#のフリジアン、C#の5度下から始まるハーモニックマイナー、と遷移する。次の10小節はfisとcisの完全5度のペダルの上に、B Majorと奇妙なモード(F# G# A B# C# D E)とが交代する。要は、中声にあるais cisが次の小節ではa his となって半音で上下しているというだけのことなのだが、この奇妙なモードのせいで、赤枠で囲んだ部分では、B# C# Dという隣接する3つの半音のクラスターが鳴るのだが、まったく機能和声的に響く。

 

(追記)またまた、作曲家KD先生から貴重なご示唆をいただきました。いつもありがとうございます。

よりカデンツを意識して機能的に理解するということだと思うのですが、先生によれば:

Un peu plus lent qu'au débutの1小節目はcis moll主和音、3・4小節目はfis mollのドミナントと理解できる。3小節目冒頭のdがfis mollを示している。同3小節目、左手のeは次小節dへの倚音(根音から数えて短10度音=ポピュラー音楽で言うところの#9th、つまりここはC#7であってeis が隠れていると感じられる)。

2小節目は、hisは3小節目のhに、aisは4小節目のaに半音階的下降して解決すると考えられる。

4小節目からは、cis mollのIVとして理解でき、ais-a、his-cisという変移が行われている。それが最後にdes dur (cis dur)の主和音へプラガル終止する。ここで、fis/cis の5度の上にa-his-dがのっているわけだが、これはfis上の付加4・6の和音と考えられる。his は付加第4音、dは付加6音である。dは普通ここではdisになるところだが、フリギア的に(cis のフリギア cis d e fis gis a h )半音低められて下降解決する。

:ということになります。

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