Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Brahms Piano Concerto No. 1 D moll Movt. 1

ブラームスのピアノ協奏曲第一番というのは、ずっと敬して遠ざけてきたところがある。

なんと言っても1857年完成だから、ブラームス弱冠22才。暗い情熱にあふれかえっていて、到底消化できない感じがしていたからである。

それが、やっとじっくり聞いてみようかという気になってきた。トシを取って初めて聞ける音楽というのもあるのだと思う。

だいたい、出だしからして異様である。調号はフラット一つでニ短調であるが、Dの持続音の上に奏される第一主題は、どう聞いても変ホ長調にしか聞こえない。EbというのはIIb調だからありえるといえばありえるが、この出だしの緊張感はすごい。第一主題は繰り返されるが次はやや変形されてやっと主調のニ短調に聞こえる。

(註:尊敬措くあたわざる小栗先生から「最初の部分は長~いナポリの6度に聞こえる」というご指摘あり。「このナポリ属調イ短調)のナポリの6度。本来の進行ならばその後はドッペルドミナント(第3転回形)(E7)からV7(第1転回形)(A or A7)に行くべきところですが、主調(d moll)から見るとVI(Bb)の第1転回形とも見れるので直接V7(A7)に行ってますね。またEs durの主和音(d mollナポリ)に行くことも出来ますが(Asの音がそれを導いていますし)、そこにも行かない意外性が素晴らしい!」とのコメントをいただきました。)

しかし、これはいっかな終止しないのである。さまよった挙句、46小節目から調号は変二長調(!)になってしまう。主調の上での全終止は66小節目を待たないといけない。ピアノが出てくるのは91小節目である。

この不安定さが耐えられない。いや、耐えられなかった。

よくよく聞いてみれば、一応ソナタ形式は取っている。再現部の第一主題の入り方も型破りだが(Dの持続音の上にドッペルドミナントであるEの和音で入ってくる)たくさん張り巡らされた伏線はすべて回収されて終わるのだが、その行程の長いこと。

仮に出てくる動機に番号を振って、表にしてみた。譜例の音は一応こちらにあります。

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