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Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Saint-Saens "La Cynge" from "Le carnaval des animaux"

 

 

いまさらながらの「白鳥」である。サン=サーンスの曲の中でも一番聞かれているのではないだろうか。おびただしい編曲があるし、アンコールなどでの演奏機会も多いだろう。

シンプルな一息の旋律。特に形式もなく、転調を経て冒頭部分がもどってきてすんなり終わってしまうのだが、フランスの和声課題にも似て、音楽のエッセンスが凝縮して詰め込まれている。旋律は見易さを考えて一オクターブ上げてあり、和声付けも骨組みだけ示してある。音はこちら

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旋律の2番目の音は非和声音である。4番目の倚音のEに解決する修飾音と捉えることも出来るかもしれない。二回目、6小節目は冒頭と同じだが、7小節目の冒頭の和音は不穏である。si と書いたのはロ短調という意味である。7小節目の冒頭はF#7(ロ短調の属和音)で、バスに掛留音が来ていると解釈してみた。

旋律は気持ちよくロ短調旋律的短音階を駆け上がり、9小節目で主音のBではなく三度音のDに達する。

次はSolと書いたのはト長調の意味である。主調ではあるが、ここでは経過的な性格を持つ。問題は10小節目の後半の和音である。何だろうね、これは?ト長調のドッペルドミナントの性格を持っているのは確かなのだが。素直にいけば、A7となるところだが、バスはBbだし、Dは入っているし、厚みのある和音になっている。

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12小節目からはFa。ヘ長調への転調である。先ほどと同じ経過をへて14小節目に達する。14小節目からは、普通にいけばla すなわちイ短調であるが、ここではA dorianをとっている。15小節目のIV-IのカデンツはF#を旋律にもっているが、この音はA dorianの特徴音である。

次はニ短調に転調する。16小節目の冒頭も一筋縄ではいかない和音である。バスが半音するっと下がってAの和音(ニ短調の属和音)になり、Dm(ニ短調の主和音)に一旦解決、Fが半音上がって主調のト長調にもどる。

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冒頭の旋律が再現するが、すぐに21小節目で一瞬ハ長調イ短調をへて主調のト短調にもどり25小節目の後半で属和音(ドミナント)を軽くならして(このあたりがフランス風ですね。ドミナントをあまりがんがん鳴らさない)、終わります。

いやー、小品ながらドラマに満ちていますよね~。

 (追記)

O先生から23小節目の4拍目はII7の第二転回形(バスに5度音)なので低音4度であり、和声法上禁則により準備が必要というご指摘を受けました。そういう意味ではここの和声は破格になっています。

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したがって、正書法で書くのであれば、

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左のようにII7を基本形にしてしまうと、バスとソプラノで並達8度になるので、O先生ご指摘のように素直にドッペルドミナントにしておくのが正解なのでしょうね(右側)

あー、これもあるかなぁ。

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