読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Karen Tanaka "Crystalline II"

ミュライユのお弟子さん、ということはグリゼイの孫弟子さんにあたる田中カレンさんの大変美しいピアノ独奏曲「クリスタリーヌII」を取り上げます。

 

高音域の高速のアルペジオを核として、トリルや、高音域のクラスターなどを効果的につかった美しい作品です。

曲はおずおずと鳴らされるBb 6回の連打に始まります。①

 

次々に現れる速く奏されるアルペジオを少しずつみていきます。譜面はいずれも構造がわかるように簡略化してあります。音はこちらです。

 

最初のアルペジオ②は7回繰り返されます。使われているスケールはその右にしめしました。8音からなっています。右端に示したように、A7b9のようにも考えられますが、BとBbが重なって入っていたりEbも入っていたり複雑な音の選び方です。

 

続いて③の4音のアルペジオがきます。10回繰り返され、ここはEbを感じさせます。

自由なブリッジを経て、④ではまた少々違った風景になります。仮にCの上の三度の積み重ねにしてみると、到底三度堆積の和音としては理解できないことがわかります。

④⑤⑥と似た形で、最後の部分が変わっているアルペジオが続きます。アルペジオを少しずつ変化させて連続性を保ちながら運動性をもたせようという意図だと思います。

前の③と同じように比較的簡単な5音のアルペジオに至ります。

全体に高音で、長7度、短9度といった、オクターブを変えれば半音でぶつかる響きや、減5度(増4度)と完全4度、完全5度の組み合わせで響きを作り上げていて、それが微妙に遷移するところが美しいと思います。

f:id:jun_yamamoto:20160710194106p:plain

ブリッジをおいて、またあらたな楽想が導入されます。おなじアルペジオではありますが、「波打ち方が違う」というか。これも⑧から⑨へは「語尾」の変化を伴って、⑩の新局面に移っていきます。

f:id:jun_yamamoto:20160710195956p:plain

最初のごく一部分ですが、この曲の感触に、触れてみました。

楽譜はこちらで購入できます。

http://www.musicroom.com/se/id_no/053785/details.html

 

全曲の演奏は、YouTubeで聞くことができます。

www.youtube.com

CDも出ています。

www.amazon.com