Jun Yamamoto 音楽を語る

クラシックのおいしいところをつまみぐい http://jun.la.coocan.jp

Richard Strauss "Also sprach Zarathustra"

リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラかく語りき」は偉大な名曲なのだが、スタンリー・キューブリックのせいでかどうか、冒頭部分だけ有名になってしまった。特に印象的な冒頭部分が終わると、低弦でごにょごにょとなるのでよくわからなくてみんな注意がそれてしまうのだろうと思う。

低弦ごにょごにょの部分は「憧憬の動機」で、そのあと変イ長調で弦楽とオルガンで、まー粋を凝らしたコラールが来て(この部分もすごいのだが、また改めて)そのあとまた「憧憬の動機」が出てくるところを取り上げたい。音はこちら

 

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イ長調のコラールのあと、Bb7からEbへいくと見せかけて、一瞬G7をならして、Bmになる。(上の譜例の6小節目)そこに「憧憬の動機」(青線部分)が再現する。(スコアには"Von der grossen sehnsucht"と書いてある)

Ebへいくと見せかけてBm(ロ短調)になっただけで耳がびっくりしているところへ、すぐ続いてE(赤丸をつけた)に入るのが新鮮に響く。これはR.シュトラウス・マジックである。細かい音符は前半ハープで、8小節目はクラリネットであざやかに幕を開けるような感じになる。BmからEへの進行だからロ短調と解釈すればIからIVmajへの進行ということになる。この手はあらゆる作曲家に使われているが、この部分も見事だと思う。

9小節目からB7になってこの衝撃の落とし前をつけるのだが、粘りまくる半音階によるロマンティック和音の成れの果てという感じである。