ピアニストのアリス・紗良・オットさんがグリーグについて語っておられます。
終わりの方で言及されているメロディーが最後だけ#でなくナチュラルになっているというところですが、これは第三楽章の律動的なテーマの後に出てくるもので、まずフルートでヘ長調で一度演奏されてそのあとピアノで繰り返し変奏されていきます。丸を付けたように、3つ目の音はヘ長調の第7音Eの音です。
更に終盤近くにこのメロディーはオーケストラのTuttiで強奏されます。ここでは主調のイ長調になっていますが、この時も第3音はイ長調の7度音であるG#です。
いよいよ大詰めで、ピアノがこのテーマをソロで奏でますが、この最終回だけ、この3つ目の音が半音下がる(#がとれてナチュラルになる)ことで、和音はEではなく、Emとなって音楽に陰影がついています。