いきなり、8分の5拍子でニ短調なんだかD dorianなんだかわからない、音階がBbだったりBナチュラルだったりするトレモロのユニゾンで始まる。
下は、その次の部分である。主題の第1バイオリンに他の楽器が和声をつけていくが、調性があいまいになっていく。煩瑣なのでトレモロの表記ははずしてある。音はこちらです。
和音は機能を失い、便宜上コードネームをつけてみたがあまり意味はない。並行5度がどんどん使われているし、到底伝統的な和声には縛られていない。しかし、ドビュッシーの奔放さとは一線を画す気がする。
譜例の9小節目からは第1バイオリンとビオラがオクターブになり、旋律を強調している。10小節目からはXをつけたところは普通の和音ではなく、一つ一つ聞くと決してきれいな響きではないが、速度が速いことと、音形優先ということでそれほど厳しくはひびかない。10小節目のチェロのGbはGではいけないのかとか言い出せばきりがないが、ラヴェルがベストと思ったんだからこれが正解なんだろう。
旋律は(おそらく)D minor から Bb minorを経て、C# dorianに向かっていく。
15小節目からは、上3声は伝統的な三和音の第一転回形となり、C9に収束する。
AからF#、AからD#という並行を繰り返して、最初のテーマの繰り返しに落ち着く。
このあと、またまた不思議な和声の扱いが出てくるのだが、本日はここまで。