この曲はソナタ形式博覧会みたいになっていますが、第三楽章もソナタ形式。愛らしい曲なのですが、ずっと分散和音とその変化でできていまして、和音進行も特に取り立てて言うほどのこともない単純なものですが、いいのですね。ちょっとした音の使い方が重みをもっているのだと思います。最初の部分(第一主題の提示)ではd moll に Eb の和音が使われていますが、これはいわゆるIIb(ナポリの和音)ですね。短調の属和音の直前にII度フラットの和音を持ってくる手法です。しかし、ひねってあるのはそこぐらい。あとは淡々と流れていきます。
この後第二主題ですがそこは飛ばして、展開部。第一主題の分散和音をひたすら和声をかえて続けていきますが、特にめずらしいことも出てこないんですよね。