Jun Yamamoto音楽を語る

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Beethoven Symphony No.3 movt.2 Fugue

ベートーヴェンの第3交響曲の第二楽章は葬送行進曲だが、これの半ばから始まるフーガを分析する。

フーガの主唱(S)は第二バイオリンにビオラの対旋律を伴ってヘ短調で出てくる。答唱(R)は第一バイオリンにハ短調ですぐにこれに続き、第二バイオリンの対唱(CS)を伴っている。次にSがチェロに現れ、型どおり第一バイオリンがCS、次のR(上の楽譜で13小節目)はコントラバスを含めてチェロとバスで歌われる。

12小節目のバスの二拍目as a b h はいかがなものか。ここだけ浮いているような気もする。as g a h でもよかったのではないかと思うが、そこがベートーベンである。13小節目冒頭も、第一バイオリンの掛留音fとその解決音esがヴィオラで先に鳴っており少々気になる。

14小節目は第二バイオリンがasを一小節引っ張っておいて次に増二度上がるという劇的な処理になっている。17小節目からSが、最初にビオラに出てきた対旋律を弦に伴って木管の総奏であらわれ、divertiment に入る。

和声的にも旋律的にもなんということはないのだが、22小節目からのホルンによるテーマの冒頭部分の繰り返しが実に効果的である。26小節目の2拍目、ティンパニはgなのだが、チェロとコントラバスはなぜかcである。gでもよかったはずだが、これも劇的な効果を狙ってのことか。28小節目の前の小節から引っ張られたesは放り出されているが、うっかりミスだろうか?

31小節目に所謂増六の和音(バスのesとトップのcisが増六度をなす。A7b5b9の第二転回形で、下からes g a cisとなる)になってDのペダル上のクライマックスとなる。ここでは、フルートに掛留音を持たせ、弦は6連符をつかって見事なオーケストレーションになっている。