この曲では増三和音がところどころに顔を出して強い印象を与える。3小節目3拍目裏のEb G B という和音バスもソプラノも刺繍音であろうが、一瞬増三和音がなる。もっと顕著なのは、4小節目冒頭。ここはおそらくBbの和音中に中声が倚音としてF#をもっている(後にソプラノのGに解決する)とでも考えるのだろうか。
最初の2小節は伸びやかなハ長調で何事も起きないかのように思われるのに、3小節目でいきなりAbに飛ぶ。このメロディーも曲者で、Eb Major として(移動ドで)ドードソドードソ、ドーソーソーではない。もちろんAb Major としてソーソレ、ソーソレ、ソーレーレーでもない。BbではなくBナチュラルが入ってくるので、あえて言えばドードソ#、ドードソ#、ドーソーソーである。和音記号であえて書くなら、AbMaj7 +9 ということになろうか。この音に説得力をもたせてしまうのがプロコフィエフの天才であろう。4小節目の最後の和音は、Ebが変化した偶成和音ということであろうか。同じEbへ繋がるが、変化をもたせている。
1小節目のDm7 3小節目のEm7は主要コード間を音階的に埋めています。4小節目の最後のF7 は次のEm7へのアプローチ、5小節目の後半のG7/Fは見た目はおどろおどろしいですが、実は前のEm7のバスが半音あがっただけです。6小節目ののEm7b5は、同D minor へのアプローチ、7小節目はIV度の和音(F)をII度(Dm7)で置き換えています。
ソロヴァイオリンのb moll を思わせるフレーズで入ってきて、弦の伴奏はいきなりF#mである。第一バイオリンがC#ヴィオラがF#で固定された中を、第二バイオリンが A A# B B#(C) Bと半音で動くことで和音が継続して変わっていく。譜例の3小節目からあとは他のパートも動くが、基本的には半音ずつ動いていく。音はこちら。